<目次>
特集
生活施設を木でつくる
福田啓次
地域材の調達デザイン「図面から森へ」
大塚謙太郎
木造の保育建築から生まれるもの
こどもたちは軸組に何を発見するのか
小伊藤直哉
みんなでゆっくり育てる綾部市里山交流研修センター
金田正夫
生き続ける木々
青木哲也
インタビュー:森を活かす工務店の仕事と役割
連載
地形から都市をみる(3)
東京低地の地形と地盤
久保 純子
社会派 聖地巡礼(20)
マンハッタンは絵になる
中林 浩
主張
プラスチック減量を意識しよう
桜井 郁子
新建のひろば
愛知支部――愛知消費者大会講座「防災・減災~命を守る行動を考える~」
大阪支部――若手設計者ダブル講演会
京都支部――実践報告会
東京支部――「まちづくり市民フォーラム」を開催して
久しぶりに集まった全国幹事会 大山商店街を歩く
<主張> プラスチック減量を意識しよう
桜井郁子 建築士/全国常任幹事
十年以上住んだ家を離れ、引っ越しました。京都から宇都宮へという630㎞の大きな移動なので、できるだけ身軽にを目指して、いろいろと処分してきました。案の定というイメージをはるかに超えて、本当に多くのプラスチック製品に囲まれて暮らしていたことを突きつけられました。大いに反省するとともに、さて、これからはどんな生活をするべきなのか、何を選んで何を選ばないのか、考え込んでしまいました。
建築の現場でも、プラスチック製品があふれています。環境問題として頭では理解するものの、プラスチック製品を使わないという選択肢は考えられません。よっぽど資金が潤沢で、自然素材を使うに限るなどとこだわりがなければ、当然のごとくプラスチック製品に囲まれます。なにしろ、水に強かったり施工性が良かったり安価だったり、さらには木に見えるプラスチック、金属に見えるプラスチックなど、求められる品質・性能・表面的な意匠性を充分に満たすので、どちらかというとプラスチック製品推奨の方向に走ってしまいがちです。
今、気になっているのは建設リサイクル法の中での位置づけです。法律の制定から四半世紀が過ぎたそうで、当時の社会状況からだいぶ変化があるのではないかと思うためです。そもそも建設工事に伴って廃棄されるコンクリート塊、アスファルト・コンクリート塊、建設発生木材の建設廃棄物が不法投棄の過半を超えていたことなど、廃棄物処理をめぐる問題があり、資源の有効利用という観点で再資源化・再利用のために定められた制度です。これらの重量物がどのように処理されていくかを見届ける必要があるとは思いますが、これからどんどん増えていくプラスチック製品は、そのカサの割に重量には表れません。建設リサイクル法の届出のようにトンで表記されるなら、廃棄される実態をつかみきれないのではないでしょうか。
もうひとつ、木質工業材も気になっています。木質工業材が出てきた背景にはいろいろありますが、現在活躍しているのは中大規模の建築物で、とりわけ高層建築物に使われてマスコミを賑わせています。この人口減少の時代に高層建築物が必要なのか、なぜ木質工業材を使わないといけないのか、今一度立ち止まって考える必要があるのではないでしょうか。木造建築は木材の持つ構造的特質や意匠性、耐久性を生かしてしてつくるのがあるべき姿だと思います。
まず私たちにできることは意識することだと思います。例えばプラスチック製品でいえば、どれだけ使っているのかを知ることから始めませんか。建設リサイクル法の届出の一項目として記載することも意識する助けになるかもしれません。ただ、プラスチック製品をリサイクルしておしまいではなく、どれだけ減らせるかを考えていかなければいけないと思います。そのためには、プラスチック製品に代わる製品の開発を求めていかなければなりません。私たちの意識改革だけでは実現できないことです。私たちの小さな声を、多くの人の共感とともに、安心して使える素材を実現させる、そんな力にしていきませんか。
<特集> 生活施設を木でつくる
最近、木造で中高層の大型建築物が競い合うように作られているのにある意味驚きを感じます。今のところ地上12階、高さ56mのオフィスビルがもっとも高く、ほかに共同住宅や商業施設などの中高層ビルが木造で建てられてきています。この背景には公共施設で木材利用を促進させていた法律が2021年に改正され、脱炭素促進を目的に民間施設にも広げられたことがあるでしょう。木造に補助金が使われ、建築基準法緩和で木材利用をするしくみが作られたのです。
しかし、木材利用促進は木材を無駄なく使い、日本の林業を支えることにつながっているでしょうか。非住宅分野や中高層建築物を作る際の木材利用率は未だ低いのが現実です。中でも構造材では集成材、CLT、LVLなどのエンジニアードウッド(木材を加工して強度や品質を均一化させた高性能な木質建材の総称)の利用がほとんどで、無垢材の使用はわずかです。エンジニアーウッドの問題点は、接着剤の劣化、燃焼の際の化学物質の環境への影響、加工に手間がかかりコストが高くなることなどが指摘されています。長い目で見ると持続可能な材ではなく、現在建てられている木造中高層ビルは持続可能な建築物とは言えないのではないでしょうか。
日本では間伐材や小径材を含めて無垢材を使い尽くし、学校や福祉施設などの生活関連施設の建設で様々な部位に利用してきた歴史があります。効率化のなかで姿を消してきた無垢材をあらためて評価したいと思います。また、軽量で将来の可変性があり、コストも安くなり、調湿性があり、脱炭素にも貢献する持続可能な建材として位置付けなければならないでしょう。
しかし、一方では木造で作っても内外装は木質化できず、木造らしさが表れていないケースが多いのも事実です。防火基準の厳しさや木材の扱いに不慣れであることなど、乗り越えなくてはならない課題があります。
本特集では、持続可能な材である無垢材を使った生活関連施設の事例を紹介します。人々の生活に寄与する空間を、厳しい規制のなかで作り出している様子を伝えます。
また、木材を利用する建築関係者と川上とよばれる山や製材所などとのつながりは、会員の努力があるものの、まだまだ薄いのが現実です。
日本の木材自給率は2024年には42.5%まで回復してきました。近年の自給率の伸びは、土台(製材31%・集成材44%)、羽柄材(製材32%・集成材32%)、構造用合板(81%)に表れています(比較的規模の大きな住宅供給会社等の木造軸組住宅の部材別木材使用割合)が、柱材(製材9%・集成材48%)、梁材(製材3%・集成材6%)への利用は低く、柱梁材の国産無垢材の利用割合は限定的です。身
近な生活関連施設の建設に、川上と結んだ国産材の流通はどこまで実現可能なのか、課題はどこにあるかも明らかにしたいと思います。 担当編集委員/永井幸、高田桂子
<ひろば> 愛知支部―愛知消費者大会講座
「防災・減災~命を守る行動を考える~」
連休明け、晴天の5月10日(日)午後3時から、愛知県消費者大会講座・いざという時のために〝命を守る行動〞を考えてみよう「防災・減災~命を守る行動を考える~」が、大学生協東海会館で開催され、約60名参加しました。参加された学生の中には、地方から愛知の大学へ来て、一人暮らしをされている参加者の方も多かったです。
司会進行は、大学生協の学生代表者でした。まず大学生協の説明があり、今回の講座の企画を説明、その上で自分がなぜこの活動をしているかを丁寧に説明してから、講師の方の紹介をされました。講師には、名古屋大学 減災連携研究センター特任教授の羽田野拓己さん、新建愛知支部幹事の壬生伸次さんの2名でした。
講座の内容は、地震発生から72時間の過ごし方、避難場所での生活について、自分や周りの人を守るための行動などでした。
まずは、羽田野氏より、「南海トラフ地震に備える〜大切な命を守るために〜」のお話でした。まず、「防災とは?」をみんなで考えようと、南海トラフ巨大地震対策ワーキンググループ報告書を説明されました。「津波」は、来るかどうかではなく、いつまでに逃げるか。地震などの被害想定は、行動で変えられる。地震、津波、火災、家具転倒などは、対策をすることにより被害を軽減できる。
「自助とは?」他人や公的支援に頼らず、自分の力で自分の命や生活を守り、課題を解決しようとする行動や姿勢である。自宅の危険を知る。大学周辺の避難先を知る。海辺に行く時の逃げ先を意識する。家族との連絡方法を決める。「南海トラフは、知っているだけでは意味がない」。大事なのは、防災・自助を自分の生活の中で実践し、いざというときに動ける状態をつくっておくことです。
続いて壬生氏からは、「家の耐震性を知ろう」がテーマです。住んでいる部屋をイメージしたイラストで、室内の危険を予知する対策を学びました。家具がなぜ振動で倒れるかを模型で重心を示し、家具固定の仕方を写真で説明されました。
また、地震後に断水があり、トイレの水が流せない想定で、非常時のトイレ利用について説明がありました。透明なビニール袋をトイレに被せて、その上に黒いビニール袋を被せる。黒い袋に用を足し、その中に凝固剤を入れて固め、黒い袋のみを交換するというものです。知っていることや知らないこともあり、単純で簡単なことだけど、基本に戻ってみんなと確認し、参加して、とても勉強になった一日でした。この企画を次につなげていきたいと思いました。
(愛知支部・甫立浩一)

<ひろば> 大阪支部―若手設計者ダブル講演会
7月25日大阪木材仲買会館において、新建大阪支部大塚さん(ちびっこ計画 大塚 謙太郎一級建築士事務所)と新建京都支部目黒さん(企業組合 もえぎ設計)の若手設計者ダブル講演会を開催しました。テーマは「こどもとおとなの伴走者」。今回もいくつかのパートをそれぞれが交互に話してもらう進め方をしました。
大塚さんは子どもの声を設計の起点に置き、使い手と対話しながら空間をつくりあげる実践を積み重ねてきた設計者です。「丁寧に悩む」プロセスそのものを大切にするスタンスが特徴的です。目黒さんは保育の内容・考えによって空間の意味がいかに変わるかを探求し、小規模な改装にも無限の可能性を見出す設計者です。つくるプロセスへの丁寧な関与を実践しています。
大塚さんは大学の文学部で教職を目指していましたが、阪神淡路大震災で人生が大きく変わりました。家業の工務店を手伝い、被災地のブルーシート掛けをする中で、教育と建築と命が混ざりあう経験をします。教員免許を取らずに大学卒業後、中央実務専門学校入学。その後、いるか設計集団に入所し8年間修行します。アトリエ設計事務所のいるか設計集団では、労働時間、給料、環境、仕事内容の何に価値を置くかを考えたと言います。「聖和乳幼児保育センター」の設計で聖和大学保育学科の教授に指導を受け、天狗になっていた大塚さんは、「あおぞら保育園」では他園と一緒にするなと叱られ、多様な保育の形があることを知ります。「森山保育所」ではアルコーブでこどもの行動に気づき、調子に乗ったり、「住吉台保育所札場分園」では油断が事故を招くことを知ります。独立してからの仕事である、『建まち』でも紹介された「さくらづか保育園」山がくれた遊具。「母里保育園」居場所選択の自由。「かにがさか保育園」 ユニバーサルキッチン等を詳しく話してもらえました。
目黒さんは某ハウスメーカーによる自宅の新築、万博公園にあった国際児童文学館、安藤忠雄さん等に影響を受けて建築の世界へ踏み込みました。しかし大学建築学科の製図で挫折。新しい形状を追求するセンスなく悩む日々が続きます。住宅政策などを研究テーマにする塩崎研究室に所属。設計課題がなく、構造でも環境でもない、意匠の分野を選択します。その後、塩崎先生とのつながりでもえぎ設計に入所します。もえぎ設計ではコーポラティブハウスを見て1件1件違っていいことを知り、組合員がともに経営や労働に関わる企業組合という組織の中に飛び込みます。「洛西保育園」で初めて保育園の設計に参加。乳児棟新築と幼児棟改装のために、3日間実際に保育を体験し集団で話し合う打合せを知ります。「西七条保育園よつばのおうち」では、本園の目と鼻の先にある場所を離れとして使うことを想定し、創作活動の場を造りました。「ポッポ保育園」では登降園や交通の問題、地域とのつながり、入口と園庭のアプローチ等、設計者も提案するけど保育園の先生たちの「私たちが決める」姿勢を学んだそうです。参加者は新建会員7名、一般5名、学生3名の計15名でした。質疑では講演者の2人がどのような道筋をたどり、活動し仕事を重ねてきたのかが良く分かりとても参考になったと感想をもらいました。 (大阪支部・栗山立己)


<ひろば> 京都支部―実践報告会
7月24日(金)、ハートピア京都にて実践報告会が行われました。参加者は15名で、むぎ設計工房の藤倉さん、ひとまち設計の宮田さん、もえぎ設計の山田さんの3名から日頃の実践についてお話しいただきました。
むぎ設計工房の藤倉さんからお聞かせいただいたのは綾部市での保育園の事例です。敷地面積3000㎡弱の広い土地に、園庭を囲むようにウッドデッキ、縁側、各保育室が配置され、木の温かみたっぷりの園舎となっていました。落ち着いた空間が必要な乳児さんの部屋は中庭で少し距離がとられていたり、設計者が意図しない場所で子どもたちのあそびが生まれており、中と外が緩やかにつながる中、子どもたちが好きな居場所でのびのびと過ごせるとても居心地のよさそうな保育園だと感じました。昨今の法改正の影響による申請でのご苦労や、できるだけ木を表しにするため細かく内装制限の検討をされたお話など、私にとっては久しぶりにお聞きした保育園設計の実践でとても楽しませていただきました。
ひとまち設計の宮田さんからは、宇治市の病院建て替えの工事監理から仮使用申請を行ったお話をお聞きしました。入札物件のため設計は別の設計事務所が行われていたのですが、当初から仮使用をどのように行うか考えられていたのかいなかったのか…仮使用エリアを区画するためのフェンスバリケードや仮設通路の区画など、なんじゃそりゃ~と突っ込みたくなるような内容もあり、大変なご苦労が垣間見られました。行政のお仕事ということで、これまであまり関わりのなかったお話が聞けてとても興味深かったです。
最後のもえぎ設計の山田さんからの報告もなかなかに重量級な内容でした。京都市内で設計された35坪強の障がい者グループホームの事例で、長屋を一部解体した京都らしいウナギの寝床状の狭小敷地での計画でした。補助金スケジュールも非常に厳しい上に、事前の内示情報もなく補助金が取れるか全くわからない状況から始まり、7月ごろに内示が出た後に生じる施主からの新しい要望を組み込んだ基本計画の変更、実施設計に加え、狭小地ならではの建築基準法やバリアフリー条例の壁。お話を聞きながら無事に年度内の3月末までにすべて完了するのかと私の心臓までぎゅーっと縮まり、ドキドキ、ハラハラするような内容でした。障害のある方にとって必要な住まいとなるグループホームを建てるのに、不条理なスケジュールや条例のせいで建てられないなんて本末転倒です。バリアフリー条例の緩和を試みるも、なぜか景観配慮による緩和を打診されるのは京都らしいといえば京都らしいのですが、なぜ?と疑問に思うこともありました。無事に竣工までたどり着いたのは山田さんと清原さんのとことん突き詰めた執念のおかげと感じました。お話の中ででてきた「準延焼防止建築物」や「特定小規模施設用自火報」などは初めて聞くもので、今後何かの折にはぜひ参考にさせていただきたいです。
報告会後にはお決まりの?納涼会。出産や転職で長らく新建の活動はご無沙汰しておりましたが、皆さんの日ごろの仕事のお話が聞けてとても楽しませていただきました。私も頑張らねば、と刺激を受けた夜となりました。
(京都支部・岡村七海)

<ひろば> 東京支部―「まちづくり市民フォーラム」を開催して
9月5日(土)、板橋区立グリーンホールで「まちづくり市民フォーラム」を開催しました。昨年の「防災デー」に続く新建東京支部の企画で、72名が参加し、16組の個人・団体が活動を発表、17組が展示・資料配付を行い、活気のある会場となりました。
午前の「まちづくり運動交流会」では、13組が再開発やまちこわし、住環境、地域のまちづくりなどについて報告しました。午後の意見交換会でも3組から報告がありました。短時間の発表でしたが、「住民の声が十分に聞かれないまま計画が進む」「ある日突然、都市計画が示される」「行政と民間事業者の合意が先行し、住民が後から対応を迫られる」など、地域を越えた共通の課題が浮かび上がりました。参加者からも、各地の取り組みを知り、お互いの活動が見えることの大切さを実感したとの感想が寄せられました。
岩見良太郎さんは「ピッコロ・スクエア再開発と高島平再開発問題を考える」と題して講演。都市再開発の仕組みや採算構造を具体的な数字から解説し、「誰のためのまちづくりか」という問いを投げかけました。また、住民の運動によって再開発の中止や都市計画決定の撤回につながった事例を紹介し、住民主体のまちづくりの可能性を示しました。
西本千尋さんは「学びから始まる~私たちのまちづくり~」と題し、「共同性」をキーワードに、川越や大山、赤羽、松戸などでの経験を紹介しました。住民、商店街、専門家、自治体職員などが話し合いながら地域の将来を考えること、そして再開発などによって地域の人間関係を分断させないことの重要性が語られました。
私からは、「マドリード&バルセロナ―気候危機下のまちづくり」と題して、昨年秋に訪れた両都市の取り組みを報告しました。マドリードの歴史的建築を活かした更新や、旧高速道路を地下化して公園に再生した「マドリード・リオ」、バルセロナの「スーパーブロック」などを紹介しました。海外の事例をそのまま日本に持ち込むのではなく、「何をつくるか」だけでなく「どんな暮らしを大切にする都市にするのか」という視点から考えることが重要だと感じています。
今回のフォーラムを通して、「誰のために、誰がまちをつくるのか」という共通の問いが見えてきました。アンケートでは、各地の活動を知るだけでなく、今後は相談や連携につなげていく場が必要との意見もありました。地域の困りごとを聞き、情報を共有し、専門的な立場から対案を考え、地域を越えて学び合う――そのような「市民のまちづくり運動をつなぐプラットフォーム」として、新建が役割を果たしていくことが求められています。今回の出会いと交流を一度きりで終わらせず、学び、相談し、つながり、共に行動できる関係へ発展させていきたいと思います。
(東京支部・山下千佳)


<ひろば> 久しぶりに集まった全国幹事会
大山商店街を歩く
9月12日・13日に全国幹事会が東京板橋で開催されました。最後に集まったのは2019年9月で、その後ずっとオンライン会議でしたので、集まったのは実に7年ぶりです。
今回は会議の構成を大きく変えました。これまでは常任幹事会や各委員会からの報告、各支部からの報告を受けて分散会という流れでしたが、今回は、まず会議の主題を「これからの新建」として、これに沿って現状の課題とこれからの計画を報告し、分散会ではなく「ワールドカフェ」という形式で、一人ひとりが「これからの新建」をベースに話せるようにしました。
さて会議の内容報告は次号に送るとして、ここでは会場となった板橋の大山商店街の様子を報告します。幹事会終了後に、本誌9月号で大山問題を考える会の石田さんに寄稿していただいた再開発の現場を見て回りました。商店街を歩いてまず感じるのは、ハッピーロード大山商店街は「にぎわっている」ということです。再開発のうたい文句に必ず出てくる「にぎわい創出」は、少なくともここでは当てはまらない、もともとにぎわっているので創出しなくていいのです。にもかかわらずアーケードを寸断し、立ち退きを強いながら再開発が強行され、2本のタワーマンションと安っぽい商業施設がすでに完成しています。
日曜日の夕方、商店街に面したスーパーマーケットは買い物客でにぎわっています。ここの社長は「当初は低層ビルと聞いていたのに、突然タワマンの計画を見せられた」と大反対を表明し、入口に「再開発反対」の横断幕を掲げ、店の宣伝もそこそこに「アーケードを壊すな」「タワマンはいらない」といった幟旗が林立しています。通行人や買い物客に強くアピールしつつ「取り壊しのその日まで営業する」と怒り心頭です。
周辺ではすでに転出済みの賃貸マンションや戸建て住宅、中規模の店舗ビルなどが、主を失って虚しく建っています。この風景は何とも言えない、あまり感じたことのない寂寥感を漂わせており、これが再開発かと怒りがこみあげてきました。
おりしも当日は秋祭り、商店街を神輿が練り歩き、歩けないほどの人込みです。地域の小さなお祭りは、神輿の担ぎ手がいないとか、町会が機能しなくなって仕切る人がいないなどにより、だんだんと消滅しつつありますが、ここの神輿は大行列です。こんなにいい感じの下町の商店街を壊してはならない、地元の人たちを豊かにしない、コミュニティを破壊する開発事業者のための開発は許されないと改めて思いました。 (大阪支部・大槻博司)


