第34回全国大会特別決議

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 2023年11月25日に行われた新建築家技術者集団・第34回全国大会において、
「ガザ地区での即時停戦と人道支援を求めます」「大阪・関西万博の中止を求めます」
2つの特別決議を採択しました。

目次

特別決議:ガザ地区での即時停戦と人道支援を求めます

 私たちは、ガザ地区での人道的大惨事の中、これ以上の民間人の犠牲を防ぎ、人びとの命を救う支援を可能にするために、占領下のガザ地区とイスラエルのすべての紛争当事者による即時停戦と人道支援を緊急に要請します。
 10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル襲撃に端を発するとはいえ、イスラエルの報復攻撃によるガザでの死者は1万3千人を超え、その多くが子供と言われています。またイスラエルは医療施設や学校、国連施設にも攻撃を行い、多くの患者や医療従事者、国連職員の犠牲者も急増しています。
 住まいのみならず食料や水、電気、医薬品も遮断されジェノサイドともいうべき事態が進んでいます。ガザに暮らしている2百万人超の人びとに深刻な人道危機が訪れています。

 この状況に対し、私たちは以下のことを求めます。
  ①イスラエルは今すぐ攻撃を止め、両者は即時停戦すること。
  ②ハマスなどすべての武装組織はすべての人質を即時に解放すること。
  ③イスラエルは拘束するすべてのパレスチナ人を解放すること。
  ④国際社会はガザの人びとへ食糧、水、電気、医薬品・医療を届けること。
  ⑤国際社会は、ガザでの惨状を止めさせるためにあらゆる努力を行うこと。
 また、長年にわたるガザへの一切の抑圧を止め、ガザの人びとに自由で安全な生活を保障すること。

 以上決議します。
2023年11月25日  新建築家技術者集団 第34回全国大会

特別決議:大阪・関西万博の中止を求めます

 2025年に予定されている大阪・関西万博について、11月初旬に共同通信が実施した世論調査では、同万博の開催が「不要だ」という回答が68.6%と、多くの国民が反対していることが明らかになりました。また、参加予定国の撤退も報道され、開催を疑問視する声が日増しに大きくなっています。
 私たちは建築まちづくりの専門家として以下の点で大きな問題があると考え、大阪・関西万博の中止を求めます。

  1. 会場予定地の人工島夢洲は浚渫土やゴミの最終処分場であり、軟弱であることはもとより地震時の液状化の危険性や有害物質が大量に埋め立てられているなど、建築物の敷地としては全く不適切です。
  2. 2018年の台風21号では関西空港および同連絡橋の被害をはじめとして、会場予定の夢洲でも高潮による岸壁の崩壊が報告されています。近年多発する超大型台風による甚大な被害が予想される場所に、多くの人が集まる大規模イベントを開催すべきではありません。
  3. 開催予定日まで1年半を切っていますが、建設工事はほとんど進んでいません。電気や上下水道などのインフラも未整備で現地に至るアクセスの問題を含めて、現時点では工事を進捗させるための見通しがありません。工事期間不足の事態を受けて、2024年から建設業にも適用される時間外労働・休日労働の禁止規定を除外すべきなどという無責任な意見が一部で挙がっています。このまま強行すると突貫工事による事故の多発や過労死の発生も予想され、このような建設労働者を危険にさらす工事の強行に反対します。
  4. 会場建設に係る費用が当初予算の約1.9倍2350億円と言われており、今後も地盤改良やアクセス整備などの費用の増大が想像されます。そもそも半年間の仮設建築物のために膨大な地盤改良や終了後に引き抜くとされている長大な基礎杭工事はあまりにも無駄であり、持続可能性の観点からは正反対の事業です。短期間の大規模イベントに巨額の税金を空費してしまうのではなく、国民市民のくらしのために投じるべきと考えます。

 過去には東京での世界都市博覧会中止や先般の札幌五輪招致断念など、中止することが賢明であった事例はあり、中止による補償金も含めて早期の決断により損失の最小化を図るべく一刻も早い中止の決断が望まれます。
 以上のことから、私たちは、持続可能な安定した社会づくりに反し、多くの国民が不要と考える危険で無駄な大阪・関西万博の即時の中止を求めます。

 以上決議します。
2023年11月25日  新建築家技術者集団 第34回全国大会

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