建築業界の「裏金」体質を一掃しよう

準大手ゼネコン西松建設の不透明な政治献金が問題になっている。その詳細は今後の捜査を待たねばならない

が、私たちは建築とまちづくりに携わる専門家として、ゼネコンが自社の利益確保を目的として多額の「裏金」
を用いること自体を改めて糾弾する。この件に関しては、他の大手ゼネコンも下請企業を通じて「裏金」を支出
していたことが報じられているが、それが事実であれば同様に糾弾されるべきものである。

また、この事件とは別に、キヤノン大分工場建設に関して大手ゼネコン鹿島建設が、受注のため某コンサルタ
ントに巨額の「裏金」を支払っていることも報じられた。

建築工事は、それを利用する人々の利便と安全および地域環境の保全・改善を目的として誠意を持って行わな
ければならない。工事の受注・契約も社会的公正の下になされるべきであり、「裏金」を用いたり政治家の
「力」に頼るべきではない。

多額の「裏金」を使って受注すれば、工事金額を水増し請求するか、手抜き工事をするか、あるいはそれら双
方を行うことになり、建築主およびその建物の使い手の利益と安全を損なうことになる。世界的不況の中で、建
築工事が減少し、建設業各社の経営がきわめて苦しくなっていることは現実であるが、だからと言って「裏金」
を使って受注するようなことは許されない。

国民にとって必要な建築工事はたくさん潜在している。それらを顕在化して全体の仕事量を増やすこと、およ
びその工事契約が透明かつ公明正大になされるようにすることこそが、私たちの課題である。その課題に結集す
るためにも、「裏金」体質を業界から一掃しようではないか。

2009年3月15日
新建築家技術者集団全国幹事会