イラクへの武力攻撃に反対する

世界中の平和を願う声が大きくなる中で、アメリカは国連による合意を放棄し国際法を無視した無法なイラク攻撃を3月20日に開始しました。日本の政府は、戦争支持の理由を何一つ示さずアメリカの独断的攻撃を無条件に追認し、国際的にも恥ずべき主体性のない態度を示しています。

日本はすでにイージス艦をインド洋に派遣しており、さらに支援を強化するため「イラク新法」なるものを検討する動きすら報道されています。

フセイン独裁政権による人権侵害は許されないことです。それは世界の世論でただされなければなりません。しかし、それを理由にして武力で他国を侵略することにはいかなる道理もありません。戦争になれば、子どもや老人を含む多数の人々の命が奪われることは火を見るより明らかです。

2月15日には世界の600以上の都市で1000万人以上の人が大規模な反戦のデモンストレーションを行いました。その後世界的に反戦の世論は拡大し、アメリカでもニューヨーク市を始め139都市で武力攻撃反対の決議が行われています。日本でも毎日新聞の3月3日の世論調査によれば、84%以上の人がイラクへの武力攻撃に反対しています。

今アメリカの無法な武力攻撃を容認したら、朝鮮半島でもアメリカによる先制攻撃があり得ると北朝鮮が考えるのは当然と言えます。それは日本を含む極東アジアに緊張を激化させ新たな戦争の危機を誘発することにつながります。

イラクへの武力攻撃はイラク国土内の問題だけではなく、日本の国土の先行きを左右する危険をはらんでいます。

戦争は最大の環境破壊であり、人の命を奪う最大の人権侵害です。また、イラクは最古の文明発祥の地として全人類にとってかけがいのない多数の史跡を擁し、アメリカなどの武力はこれらの遺跡を壊滅させることが強く懸念されます。

私達新建築家技術者集団は憲章に「建築とまちづくり、生活と文化、自由のために平和を守ろう」を掲げています。

平和な世の中で、人々の豊かな生活空間の実現に努力する私達建築家技術者は、民族の自決権を無視し、強権力を背景にした武力攻撃には断固反対します。

私達は、無法な戦争を直ちに中止することを求め、平和を願う多くの人々と連帯することをここに表明します。

2003年3月22日
新建築家技術者集団全国幹事会