2009年1〜12月号(建まちバックナンバー)

発行月 通算  特集
12月号 No.383 生活しつづけるための地方都市交通
11月号 No.382 今日における奈良のまちづくりーその諸様相
10月号 No.381 デザインの源流を探す
9月号 No.380 都市と河川ー市民主導による水環境の改善
7/8月号 No.379 縮小社会へ向かう都市ストックの維持と再生
6月号 No.378 防災教育と災害文化
5月号 No.377

今日の「最小限」居住

4月号 No.376 環境共生住宅の現代の課題
3月号 No.375 私たちはこう生きたいー建築とまちづくりの職能論
2月号 No.374 土地を読む
1月号 No.373 家族に向き合う住まいの可能性

2009年12月号(No.383)

特集 生活しつづけるための地方都市交通

 右肩下がりの人口減少、労働力の流動化予想、インフラ維持費用の増大、財政力の長期的落ち込みー。地方自治体を襲う21世紀初頭のこれらの事態は、前世紀的な社会運営は望めなさそうなことを物語っている。地方交付税や補助金に頼ることはもうできない。そしてこれら社会的な歪みの影響を劇的に被るのは、非大都市地域である。「人口の定着=地域での社会生活の維持」が図られなければ、こうした地域の衰退は確実である。 
 こうした状況から問われてくるのは、人口散在型の地方における自立型・自律型の都市運営であろう。プラス成長を前提に進められた前世紀の全国画一の社会運営を脱皮し、各地域固有の条件のもと、知恵を結集しての独自のマネジメントが求められる。 
 そこで既存の社会環境を改良して社会活力を回復させることができれば、困難な状況を逆手に取ったサステイナブルな都市運営への芽も見えてくる。そのための基礎的な条件として、人々の生活水準を高める都市のあり方、その基礎的条件としてのモビリティの質がある。 
 社会生活のためにモビリティが欠かせないことは論を俟たないが、自治体や民間交通事業者による従来型の供給側視点での交経営はすでに難しい。特に大都市以外の地域では、高齢化・人口減・産業の縮小などの地域特有の条件に真摯に向き合った、柔軟なアイデアによる効率的・効果的な交通が求められるだろう。  今号では、地方鉄道路線の再生、廃止代替バス、中山間地のモビリティ確保の努力、利用者視点での交通情報の発信など、各地で取り組まれている実情に即した交通経営、さまざまなモビリティ確保の試みから、地方交通の到達点と今後を探ってみたい。

(特集担当編集委員 林 工)

・ 蘇るか、京町家の伝統  第5回 協調空間の発見(1) /片方信也
・ 忙中閑 政治家のセンス /川下晃正 
・ 主張 大会の成功を力にして設立40周年を活気に満ちた活動で盛り上げよう /高橋偉之
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特集・生活しつづけるための地方都市交通 (特集担当編集委員 林 工)
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・ 持続的な社会と交通の役割 /上岡直見
・ 鉄道はクルマも救うー福井における交通戦略の転換 /清水省吾
・ 全国バスマップサミットと「どこでもバスブック松江」  /田中隆一
・ 十津川方式の30年ー中山間地広域村でのモビリティ確保への努力 /林工
・ 地域公共交通活性化・再生に自治体はどう取り組むべきか /加藤博和
・ 面白かった本・気になる本 「まちづくりの危機と公務技術」「建築家の原点」
・ 新建のひろば
・ 風景へ まちづくりの実践 (11)


2009年11月号(No.382)

特集 今日における奈良のまちづくりーその諸様相

 今年は1989年に新建奈良支部が設立されてから20年の節目にあたる。この間に、古都奈良をはじめ県内の主だった市街地はバブル期の建設ラッシュとそのいきづまりによる混乱期を通じて、その歴史的空間を大きく変容させてきた。新建奈良支部も設立と同時に、いち早く景観を守る運動や歴史的なまちを守る運動の一翼を担い、本誌でも過去何回か古都奈良の保存と開発について特集してきた。 
 今回は、古代にその骨格が形成され、中世に門前町や城下町として賑わってきた大和八木、御所、大和高田など、奈良盆地の旧市街地の変容とまちづくりに着目したい。 
 これらのまちでは、共通して目抜き通りのシャッターが下りたままになり、あるいは空き家が増え、荒廃の度を強めている。このような変容は、郊外に出現した超大型店舗によってますます加速され顕著になってきているが、現状をなんとか打開しようと、それぞれの町では町おこしや地域活性化をめざしてさまざまな取り組みが行われている。 
 今回の特集では、「平城遷都1300年祭」の主会場である平城宮跡のあり方とともに、県内に点在する歴史的町並みを生かしたまちづくりに焦点をあて、その固有のらしさを守り、まちとして生き延びるための多大な努力の足跡をたどり、同時に今後の課題について考えてみたい。また、ネットワークを生かした若手建築家の新しい動きについても紹介したい。 

(特集担当編集委員 川本雅樹)

・ 蘇るか、京町家の伝統   第4回 歴史的街区とその集積(4) /片方信也 
・ 忙中閑 黒四ダム /川下晃正 
・ 主張 衣食住のあり方を改めて考える /永井 幸 
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■特集・今日における奈良のまちづくりーその諸様相  (特集担当編集委員 川本雅樹) 
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・ 日本文化のクロスロード―橿原市八木札の辻 /稲上文子 
・ 御所町の変容とまちづくり /角南長弘 
・ 奈良における歴史的な町並みを活かしたまちづくりの今後の展開  /藤野正文    
・ 平城遷都1300年祭と平城宮跡国営公園化をめぐる問題点 /杉田 義 
・ 奈良の若手建築家の新しい胎動 /岩城由里子 
・ 新建のひろば 
・ 風景へ まちづくりの実践 (10)   松本城を中心とする景観対策 /三沢浩


2009年10月号(No.381)

特集 デザインの源流を探す

 2009年の「建築とまちづくりセミナーin伊豆」は、〈デザイン〉をつくり出されたかたちに見出すだけでなく、つくり出す行為や営み、その基となる考え方を捉えて、〈デザインの本質〉を探してみたいという発想で講座が設定されました。セイナーを担当した新建静岡支部での企画検討で、今まで手法的に実践してきたデザインだけでは、社会の変化に対応できないという建築家・技術者の声や、若い人のデザインへの志向に応えよう、として練られた構想です。
 とはいえ、〈本質〉のありかを見つけることは簡単ではありません。そこで、住む人・使う人のための建築やまちづくりを目指して、その「人のまわりのこと」を知ることに、まずは重点を置くことになりました。結果、講座は多分やから「人」を手探りするという仕組みになり、従来の建まちセミナーにはなかった異色の構成になりました。
 本号では、セミナーに参加できなかった会員・読者のために講演の記録を特集します。セミナー参加者も含めて理解を深める機会としてください。〈デザインの本質〉を見つけることはたやすいことではないかもしれませんが、一連の講座から新たな着眼点を見つけ出していただければ幸いです。

(特集担当編集委員/本誌)

・ 蘇るか、京町家の伝統  第3回 歴史的街区とその集積(2) /片方信也 
・ 忙中閑 千本釈迦堂とおかめ信仰 /川下晃正 
・ 主張 新政権に期待する /星 厚裕 
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■特集・デザインの源流を探す  (特集担当編集委員 本誌) 
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・ 建築・都市 いかにあれば /長谷川 尭 
・ 人と環境ーアフォーダンス /柴田 崇 
・ 人と人とのこと /平田オリザ    
・ 人々のいる場所・間のこと /田中敏溥 
・ 街中がせせらぎ事業 /柿島 淳 
・ 新建のひろば 
・ 新建築家技術者集団第27回大会お知らせ 
・ 風景へ まちづくりの実践 (9)  横浜博前後のMM21地区のまちづくり /三沢浩


2009年9月号(No.380)

特集 都市と河川ー市民主導による水環境の改善

 都市の河川や水路は、外的からの防御や排水、物資運送、農業用水、飲料水、洗いもの、打ち水、水遊びや釣りなど、地域の発展や人々の暮らしに大きな役割を果たしてきました。しかし、高度経済成長期における急激な都市化により、清流がドブ川となり、蓋がされ道路となって消え、残った河川や水路はコンクリート三面張りとなり、生き物や人々が近づけない空間となっていました。 
 従来の河川に対する行政目標(河川法)では「治水」と「利水」が基本的な機能として捉えられていましたが、1997年の河川法改正により「環境」が加わり、親水性のある河川や水路づくりが全国で展開されるようになりました。 
 1986年のドキュメンタリー映画「柳川掘割物語」(製作・宮崎駿、脚本監督・高畑勲)では、市職員と市長による柳川再生の凄まじい軌跡が描かれており、河川再生は河川と人々の暮らしの関係を取り戻すことにあると物語っています。 
 悪臭とごみが漂うドブ川の清掃や浚渫、護岸の整備による人々の接近性の向上、水流の復活等、河川や水路を人が近づける空間として再生されつつあります。これらを持続させるには人々との暮らしと河川が密着する必要があります。川では舟が行き交い、河岸のいたるところに舟が着く、川辺では川に向かって川床やカフェが並び、心地よい風の中で人々が談笑する、四季折々の花木の中でボートを浮かべ、魚を追いかけるー。こうした河川と人々の関わりを取り戻す活動が、市民によって各地で取り組まれています。 
 地域のまちづくり、文化や歴史の継承を考えるとき、河川や水路が担う役割は少なくありません。こうした新たな動きに着目し、都市河川と市民の新たな関係を見出したいと思います。

(特集担当編集委員/三住 剛)

・ 蘇るか、京町家の伝統  第2回 歴史的街区とその集積(2) /片方信也 
・ 忙中閑 鞆の浦は守られたが・・・ /川下晃正 
・ 主張 コミュケーションをデザインする技術 /川本真澄 
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■特集・都市と河川ー市民主導による水環境の改善 (特集担当編集委員 三住 剛) 
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・ 都市河川の系譜と今後の方向 /高野公男 
・ 「水の都」大阪の再生 /泉 英明 
・ 堺ー環濠都市の再生 /平野憲司 
・ 市民に寄る水都再生の取り組み /山道省三 
・ 新建のひろば 
・ 新建築家技術者集団第27回大会議案 
・ 風景へ まちづくりの実践 (8)  横浜博で臨港線にレトロ電車を走らせる /三沢浩 


2009年7,8月号(No.379)

特集 縮小社会へ向かう都市ストックの維持と再生 

 戦後の都市拡大期に、日本の国土と都市には膨大なインフラストラクチャーと建築物が建設され、蓄積されました。これらの蓄積にはもはや不要となったものもあり、例えば空き家は全住宅の13%に及びます。また、人口が減少する社会ではストックを維持すること自体が深刻な問題です。全国の橋梁の老朽化が進み、構造的に危険な状態にあるとマスコミにも取り上げられ、林立する高層・巨大マンションの将来の維持管理を多くの専門家が危惧しています。必要なストックを維持・活用し、不必要なものを上手に畳んでいくことで「縮小」を「豊かさ」に転化していくことは、今後重要な課題です。 
 都市の拡大は止まっても、効率を求めた再編は進行しており、再編による集中は一方では過疎を促進します。山間地、地方都市、郊外などいたるところで過疎化は地域を蝕んでいます。効率優先の再編は過剰ストックのさらなる偏在を引き起こすとともに、資源やエネルギーの視点からも矛盾を抱えた行為です。 
 本誌は2005年に人口減少社会の年間特集を組みましたが、本特集では結局はスクラップ・アンド・ビルドでしかない現行の改革・再編に歯止めをかけ、縮小社会を如何に迎えるかを展望したいと思います。

(特集担当編集委員/鎌田一夫)

・ 蘇るか、京町家の伝統  第1回 歴史的街区とその集積 /片方信也 
・ 忙中閑 禁煙について /川下晃正 
・ 主張 今の社会情勢だからこそ、旺盛に仕事・活動を /今村彰宏 
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■特集・縮小社会へ向かう都市ストックの維持と再生 (特集担当編集委員 鎌田一夫) 
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・ 中心市街地は蘇る /鈴木 浩 
・ コンパクトシティは可能か /海道清信 
・ IBAエムシャーパークに学ぶこと  賢いインフラの畳み方 /澤田誠二    
・ 二〇〇年住宅に採択された「三〇〇年住宅」のつくり方  その基本的な考え方 /福永 博 
・ 非木造共同住宅の空き家化、持ち家共同住宅の単身化の実態と対策 /松本恭治 
・ 住宅更新の動向とストック形成の課題  セーフティネットを超えた公的借家の活用を /鎌田一夫 
・ 国土政策における「選択と集中」を問い直す /岡田知弘 
・ 新建のひろば 
・ 風景へ まちづくりの実践 (7)  横浜博交通委員会ー岡並木と地域科学研究会との間で /三沢浩


2009年6月号(No.378)

特集 防災教育と災害文化 

 近年、中越・福岡西方沖・能登半島沖などの地震に加えて、大雨、集中豪雨、台風の災害が私たちを襲っています。災害に対する備えとしては、阪神・淡路大震災以降,災害時の注意事項を記載したパンフレット等が市民へ数多く配布されています。 
 しかし、個人レベルでは、既存建物の耐震診断、耐震補強は進んでいない状況です。耐震補強がすすまない理由として、「費用がない」「もう地震は来ない」「地震が来て家が壊れてもあきらめる」という感覚が見受けられます。水害では、住もうとしている地域や住んでいる地域の水害経歴を知らずに生活をしている人、水害が起こってはじめて気づく人も少なくないようです。 
 住宅を購入したり新築する時、安全性について過去の災害履歴を聞き合わせたり、建築の技術者と検討がなされているかということが重要になります。建築基準法をクリアすることは当然のことで、加えて地域の災害経歴を知って建築行為をすることで、被害を少しでも軽減できるのではないでしょうか。 
 もう一つは、災害の実態を語り継ぐことが少なくなっていることです。私の住んでいる奈良県北葛城郡王寺町も昭和57年の夏に大水害に見舞われました。駅周辺の中心市街地が浸水したことを昨日のように覚えていますが、その後JR王子駅周辺の再開発が行われ、ビルの地下に店舗や駐車場が設置されています。水害で被災した経験を活かした別の計画があっていいと思うのですが、検討された経緯が見られません。地域や行政の担当者のなかで、災害の教訓が語り継がれていないように思われます。 
 現代は、市民住民が災害に対する免疫力をもち、家づくり、まちづくりに取り組んでいくことが求められているのではないでしょうか。本特集では、「災害の教訓を踏まえることによる安全性の確保」をテーマにして、より市民生活に溶け込んだ災害予防を考えることにします。 

(特集担当編集委員/進士善啓)

・ 70歳のイタリアひとり旅-やぶにらみ比較都市論 
   第17回 最終回 あとがき /松岡宏吉 
・ 忙中閑 身近な温暖化防止活動を /川下晃正 
・ 主張 ベーシックデザインの必要性と住み手のための住宅づくり運動 /丸谷博男 
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■特集・防災教育と災害文化 (特集担当編集委員 進士善啓) 
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・ 防災まちづくりへの視点 /片寄俊秀 
・ 濱口梧陵が伝える防災教育の精神 /丸山 篤 
・ 水害が起こりそうな地域の留意点  防災意識と地域診断のすすめ /西田一雄    
・ 安全な住宅地を見極める眼を養う /辛 陶一 
・ 西山夘三先生の構想計画論と事前復興まちづくり /市古太郎 
・ 新建賞2009募集のお知らせ 
・ 新建のひろば 
・ 風景へ まちづくりの実践 (6)   環境とモニュメント、景観デザインの追加 /三沢浩


2009年5月号(No.377)

特集 今日の「最小限」居住 

 2008年末、金融危機から派生して労働を喪失し派遣切りから路上へといった、これまで日本では克服されてきたと思われる問題が大きく噴出しました。そうした問題をもう一つの側面から見ると、その根幹に「住宅」の問題が大きく横たわっています。私たちが職能や仕事、活動の本拠とする「住まい」に直接関わっているのです。 

一方、都市内居住、地域居住を支えるという視点から住宅を見直すと、「地域の中での居住」を支える本質は何かという課題に直面します。住宅はそうした問題を内包しつつ表現する媒体でもあります。 

歴史的に見ても、戦後の最小限住宅はスケールや材料の最小限でなく、戦後民主主義の本質をいかに住まいに表出しようとしてきたのかという見方でとらえることができるし、その流れで、公団住宅・公営住宅の取り組みと成果を通事的にとらえることもできるはずです。 

いま私たちは、居住の本質からとらえていくプロセスを通じて、住居のあり方を改めて考えていく時期にきています。こうした視点から、モノとしての「住宅」でなく、「居住」を成り立たせる場としての「住居」の最小限を追いかけようと考えました。様々な場面で居住の本質に近づこうとする取り組みを見出していきたいと思います。

(特集担当編集委員/大崎 元)

・ 70歳のイタリアひとり旅-やぶにらみ比較都市論 
   第16回 十月十日 ローマ /松岡宏吉 
・ 忙中閑 世界の星座伝説 /川下晃正 
・ 主張 再び「全国各支部で建築諸団体との積極的交流」を訴えます /大橋周二 
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■特集・今日の「最小限」居住 (特集担当編集委員 大崎 元)
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・ 51Cからまちへ、公共住宅の時代的意味と現代居住への批判的視点  /鈴木成文
・ 新しい住まい方 シェア居住の動向 /海老塚 良吉 
・ 雑司ヶ谷鬼子母神参道の長屋改修 /砂金浩和+嶋村泰輝 
・ 小さな住まいで記憶を受け継ぐ /浅川淑子
・ 高齢者が集まって暮らす最小限居住のカタチ /宮崎和加子+佐藤未来
・ 日本の「ハウジングファースト」を考える、居住貧困の実際と居住支援の立場から /稲葉 剛 
・ 「最低居住水準」を再考する /鎌田一夫
・ 新建のひろば
・ 建築とまちづくりセミナー2009in伊豆 お知らせ
・ 風景へ まちづくりの実践 (5)    横浜組で担当分けした開港記念村の設計 /三沢浩
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2009年4月号(No.376)

特集 環境共生住宅の現代の課題 

21世紀に入っていよいよ地球の温暖化が予想を超える速度で進み、多くの人々が危機感を招くようになってきました。今年は2009年、京都議定書の目標は2012年までにCO2排出量を1990年比6%削減の削減とあります。これまでの取り組みのような歩みでは到底目標には達することはできないでしょう。それだけではなく、気候の変動、動植物の生態の異変など、地球温暖化は身近に迫っています。 

さて、私たちが取り組む住宅はどうでしょう。太陽熱利用はじめ様々な省エネ技術、省エネ機器や建材の宣伝が氾濫していますが、トータルな計画がどこまでできているでしょうか。自然エネルギーの活用がどこまでできているでしょうか。フロンティアや実験ではない安定した技術として普及することが大切ですが、現状はまだまだ不確定なことが多すぎるのではないでしょうか。 

今回の特集は、何が真実なのか。あるいはこれまで見えていなかった問題点、改善すべき課題を取り上げてみました。 

(特集担当編集委員/丸谷博男)

・ 70歳のイタリアひとり旅-やぶにらみ比較都市論 
   第15回 十月八~九日 ローマ /松岡宏吉 
・ 忙中閑 環境投資と景気対策 /川下晃正 
・ 主張 新建をひと回り大きくしよう /山本厚生 
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■特集・環境共生住宅の現代の課題 (特集担当編集委員 丸谷博男) 
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・ シミュレーションプログラムで温熱環境の数値化を試みる /福田啓次 
・ 太陽熱や地中熱などの利用 /中安博司 
・ 林業にも環境にも貢献する木繊維断熱材「ウッドファイバー」 /大友祥太 
・ ドイツ・北欧で進む省エネルギー住宅の現状 /堀内正純 
・ 地域の環境と住宅デザイン「北のデザイン」の考え方とその手法を通して   /丸谷博男 
・ 新建賞2009募集のお知らせ 
・ 新建のひろば 
・ 東京・大阪中央郵便局庁舎の保存問題に関する声明
    「改めて超高層計画の撤回と、庁舎全体を重要文化財として保存・活用することを求める」 
  「建築業界の「裏金」体質を一掃しよう」  /新建築家技術者集団全国幹事会 
・ 建築とまちづくりセミナー2009in伊豆 お知らせ  
・ 風景へ まちづくりの実践 (4)   横浜博・開港記念村の設計へ /三沢浩


2009年3月号(No.375)

特集 私たちはこう生きたいー建築とまちづくりの職能論 

 構造偽装事件以来の様々な動きの中で、建築家技術者の職能が改めて問われている。この特集は2008年新建全国研究集会分科会の記録である。 
研究集会では、ともすれば権利や倫理に矮小化されてしまう職能論を、新建の憲章にその原則が示されている「専門家としての自分の生き方の表明」として捉えている。その立場で、新建会員が自らの実践を踏まえて存分に議論した内容を収録した。 

(特集担当編集委員 本多昭一)

・ 70歳のイタリアひとり旅-やぶにらみ比較都市論 
   第14回 十月七~八日 オルヴィエト /松岡宏吉 
・ 忙中閑 歴史文化を守る知恵を! /川下晃正 
・ 主張 建築・まちづくりから政治の転換を考える /竹山清明 
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■特集・私たちはこう生きたいー建築とまちづくりの職能論 (特集担当編集委員 本多昭一) 
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・ 第26回新建全国研究集会「建築職能論分科会」記録  
・ 私の職能論 /小林良雄 
・ 象地域設計がめざす事務所像と職能の確立 /渡辺政利 
・ 私が新建で学んだ職能論と実践の方向 /今村彰宏 
・ 建築設計・実践的職能論 /伴 年晶 
・ 第26回新建全国研究集会「建築職能論分科会」参加者の感想 
・ 河原のまちの記憶004 まちの解体 /新井信幸 
・ 新建のひろば 
・ 新建賞2009募集のお知らせ 
・ 風景へ まちづくりの実践 (3)   景観からのまちづくりの実践 /三沢浩


2009年2月号(No.374)

特集 土地を読む 

 私たちが関わる計画・設計という世界は、この地上の、唯一の、その場の、その土地に、モノを描くことです。そこでは、対象を隈なく調べ上げ、機能を追求し、安全性や耐用性に気を配り、経済性を考え、これらによって選択されたデザインでモノを描くことになります。  
 もう少し抽象度を高めれば、土地にモノを描くことは、その土地の自然と、歴史と、営為と対話しながらの行為とも言えます。すでにその土地に描かれているモノの再生設計では、そのモノ自体が歴史となっていることも認識しなければなりません。 
 新規においても再生においても最も肝心な設計精神は、このようにして「土地を読み」、それとモノとの調和を図ることでしょう。 
 世間は百年に一度の経済破壊と言われ、政治も経済も闇に閉ざされています。こんな時代だからこそ私たちは、ゆっくりと、着実な設計行為に邁進したいものです。地域性、土地性を考えるという言葉が上滑りしがちな昨今、「土地を読む」という設計の基本に立ち返ってみようというのがこの特集のねらいです。 
(特集担当編集委員  浅井義泰)

・ 70歳のイタリアひとり旅-やぶにらみ比較都市論 
   第13回 十月七日 オルヴィエトへ /松岡宏吉 
・ 忙中閑 歴史文化を守る知恵を! /川下晃正 
・ 主張 町場の建築士と新建への想い /飯田善之 
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■特集・土地を読む (特集担当編集委員 浅井義泰) 
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・ 日本の港町を読む 都市の形成と海上交通 /岡本哲志 
・ ドイツの土地の読み方 地域環境計画の三〇年 /曽宇泰子 
・ 縦糸と横糸で紡ぐ宇陀松山の「すまいづくり」事情 /森本陽子 
・ 武蔵野大地の地下水脈を読む /神谷博 
・ どのようにして土地は読まれていたのか 開発時代を振り返る 
・ 新建賞2009募集のお知らせ 
・ 新建のひろば 
・ 風景へ まちづくりの実践 (2)   景観は風景と同義ではない /三沢浩


2009年1月号(No.373)

特集 家族に向き合う住まいの可能性 

 社会が多様化し、個々がそれぞれの価値観を持ってくると、意思疎通をいかにうまくするのかが、社会活動の上では欠かせないテーマになってきます。その対象は会社であったり地域であったり家族であったりします。 
 私たちが、建築とまちづくりを計画するうえで、人々の意思疎通コミュニケーションをいかにつくっていくか、そのありようによって、そこに生まれて来るものが変わっていくのでしょう。どこに向かうのか、何になるのか、豊かなのか貧しいのか、幸せなのか・・・。そこには計画者のコミュニティー形成の能力が問われるのです。 
 今回の特集ではコミュニティー形成のノウハウやコミュニケーションのありようを、事例を交えて探ってみたいと思います。
(特集担当編集委員 光田康宏)

・70歳のイタリアひとり旅-やぶにらみ比較都市論 
   第12回 十月五~六日 スペロ /松岡宏吉 
・忙中閑 歴史文化を守る知恵を! /川下晃正 
・主張 居住の危機をに立ち向かう /中島明子 
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■特集・家族に向き合う住まいの可能性 (特集担当編集委員 山本厚生・林工) 
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・建築専門家・これからの実践 Own Agitator /伴年晶 
・大草の家 人生の後半は田舎で暮らす /奥野明美 
・人のこころと住まい /岩城由里子 
・住体験がつくる住まいづくり /目黒悦子 
・家族と住まい いま時代を見据えて /山本厚生 
・新建のひろば 
・風景へ まちづくりの実践 (1)   まちづくり大学・下町塾における景観論の展開 /三沢浩