発行月 | 通算 | 特集 |
12月号 | No.317 | 公団住宅の建替えとは何か――住民の目線で問い直す |
11月号 | No.316 | 建築運動を語る |
10月号 | No.315 | 誰のための新制度か その4 |
9月号 | No.314 | 地域に開かれた建築デザイン |
8月号 | No.313 | 誰のための新制度か その3 中心市街地活性化――福岡にその道を探る |
7月号 | No.312 | 都市デザインの新潮流は都市空間を再編しうるか |
6月号 | No.311 | いい建築が生き続けるために |
5月号 | No.310 | 「誰のための新制度か」その2 社会福祉の基礎構造改革と高齢者の暮らし |
4月号 | No.309 | 建築と建設業のリサイクル |
3月号 | No.308 | 住みての協同で住まいとコミュニティをつくる |
2月号 | No.307 | 「誰のための新制度か」その1 基準法・都計法改正は何をもたらしたか |
1月号 | No.306 | 地球温暖化に挑む建築の現場 |
2003年12月号(No.317)
特集■公団住宅の建替えとは何か――住民の目線で問い直す
変わらない街といわれた住宅公団の団地も、三十年四十年を経て徐々に変化してきた。バス・電車の増便や不足する施設の誘致に奔走した入居当初。木々が育ち、暮らしや住む人も変わっていく中で、近所に迷惑をかけない増築や改装も行われて、住宅地としての成熟を深めてきた。 ところが、こうした成熟の過程を無視し、それを断ち切るような一斉建替えが行われている。住民は急激な変化の渦に巻き込まれ、それまでの暮らしを続けることさえ難しくなった。しかし、人々は単に翻弄されるだけではなく、したたかに住み続ける途を探った。訴訟に至るまで抗ったケース、公団を説得して住民の計画参加・要求反映を求めたケース、建替え計画を中断させたケース。団地ごとにひとつひとつの建替えがある。 この特集では、新建を中心に建築家技術者や団地住民が参加した「団地改善研究会」の成果をもとに、今まで取り上げられることの少なかった、訴訟に至った団地を含む住民活動の多様な実相を明らかにする。公団住宅建替えを評価するには、周辺住民や自治体、それに何といっても公団自身の総括が欠かせないが、ここではまず主人公である住み手の目線で考えてみた。より総括的な評価へ発展することを願って。(担当編集委員 鎌田一夫)
1 改めて、公団の公共性を問う |
ランドスケープの昨日・今日・明日 09 かわ空間/浅井 義泰 |
面白かった本・気になる本 |
ワーク&ワーク新建 83引き手のデザイン/角谷 千恵+佐々木 大輔 |
特集 建築運動を語る
「新建」が誕生したのは1970年のこと。世の中は、「安保」の継続か否かで大騒ぎでした。大学では、いわゆる「学生運動」が激しく盛り上がり、さまざまな理念が闘わされていました。それも血と破壊の腕づくでの闘いが鮮烈な印象的として残っています。学制改革と大学破壊、どちらとも言えない状況もありました。ただし共通して言えることは、何らかのかたちで政治と社会制度に関わる意欲を多くの人々が持っていたことです。 そのような状況の中で、「新建」は創設されたのです。 設立当初から関わってきた先輩達、設立に関わった先輩達はその前の建築運動も経験しています。そして、その後参加してきた人々。それぞれに思いは別々です。
今は、一見平和のように感じられますが、世界中に火の粉が舞っている現実と背中合わせになっているという事実もあります。 このような状況の中で、あらためて建築運動とは何か。それが一人一人にどのような意味をもたらしているのか。また、それぞれの人生の中で建築と建築運動がどのような役割をしているのか。座談会というかたちで、富山支部、千葉支部、京都・大阪・神戸・奈良支部合同の三カ所で語っていただきました。今後の建築運動を展望する一助となればと願っております。
(特集担当編集委員/丸谷博男)
《座談会》自分たちにとって建築運動とは何か/新建富山支部 |
ランドスケープの昨日・今日・明日 08 みち空間/浅井 義泰 |
面白かった本・気になる本 |
ワーク&ワーク新建 82 木と土と水でつくる子どもの舞台/団建築事務所 |
新建のひろば |
特集 誰のための新制度か その4
建築基準法の「性能規定」は機能するのか
建築基準法が昭和27年4月に施行され概ね半世紀を経た。この半世紀でさまざまな改正がなされてきたが、平成11年改正(13年施行)では従来の仕様規定に加えて性能規定が法文化された。 建築基準法が施行された当初は、戦後日本の復興の必要性から建築技術者を多く育成するために、その仕様規定がマニュアル的になったといわれている。 建築の量的拡大が要請されていた高度経済成長を経、バブル経済の建設狂乱を過ごして圧倒的な低成長時代に入った現在、建築はその多様性を要求されてきている。超高層建物、建物用途の複合化、新規建築材料の開発等を通じ、従来の仕様規定では想定されていなかった建築計画が数多く出現しており、それに従って種種の性能がどう保証されるのかが問題になってきた。 また、仕様規定ではなく性能規定で建物性能を保証していこうとすることは、建築計画や空間環境計画の自由度を増し、安全で快適なまちづくりへ発展していくはずであることも押さえておくべきであろう。歴史的な町並みを有する地区や木造密集地区などにおける建て替えなどについて、町並みや安全性とまちづくりの関係を考えてみたい。 今回の基準法改定における性能規定の考え方について、建物単体の課題やまちづくりにかかわる集団規定的の側面から諸先生に検討をお願いした。
(特集担当編集委員/進士善啓)
建築基準法の「性能規定」は機能するのか性能規定とまちづくり/室崎 益輝 |
ランドスケープの昨日・今日・明日 07 水や生き物を扱う/浅井 義泰 |
面白かった本・気になる本 |
新建のひろば |
特集 地域に開かれた建築デザイン
新建は、「地域に根ざした建築とまちづくり」を標榜し、それを実践してきました。近年は地域性の重視や地方自治が叫ばれるようになり、「地域に根ざす」は新建の専売特許ではなくなった感もありますが、この間そのテーマがどこまで進化・深化したのか、先達としての到達点を世に問う時でもあるでしょう。 そこで編集委員会では、全国の会員に共通する課題の一つとして「地域ときちっとした関係を持った建築のデザイン」を取り上げ、このテーマが展開されている全国の設計事例を特集することにしました。 ところで、「地域に開かれた建築デザイン」とは具体的にどのようなものをいうのでしょうか。編集委員会では厳密な定義付けをしているわけではありませんが、およそ次のような質を持ったデザインだと考えています。 第一は、街並み景観、その地域の伝統的な建築のしつらえ、新たに人々が創ろうとしている空間秩序、などを読み込んだデザインである(形態の質)。 第二は、木材をはじめ地元で生産される建材を活用し、地域の建築生産組織をうまく使った建築行為である(生産の質)。 第三は、その建築の企画から使用・運営にわたって、地域の人々の主体性や要求に基づいて行われ、生活に深く関わっている(用途の質)。 これらの質を一つ以上備えている事例が集められ、今回の特集が編まれました。地域との有機的な関係が空間に与える質を感じ取れることを願います。
(特集担当編集委員/鎌田一夫)
土地に溶け込む民家再生のデザイン /安藤 政英 |
ランドスケープの昨日・今日・明日 06 土を扱う/浅井 義泰 |
面白かった本・気になる本 |
|
特集 誰のための新制度か その3
中心市街地活性化――福岡にその道を探る
中心市街地の活性化に取り組む市町村などを強力に支援するため、平成10年7月に「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律(中心市街地整備改善活性化法)」が施行され、また、関係府省庁による支援体制の整備が進められてきた。 その特徴は以下のようである。1 それぞれの地域の特色を十分に反映するため、地域にとって身近な市町村の役割を重視する。2 市街地の整備改善と商業等の活性化の一体的に推進する。3 市町村、民間事業者等は、「基本計画」に基づいて、土地区画整理事業、市街地再開発事業、道路、駐車場、公園等の都市基盤施設整備など「市街地の整備改善に関する事業」、魅力ある商業集積の形成、都市型新事業の立地促進など「商業等の活性化に関する事業」、その他必要に応じて公共交通の利便性向上、電気通信の高度化等に関する事業等を一体的に推進する。4 関係省庁による総合的な支援体制をつくる。そのために統一窓口の開設する。 さて、こうして推進してきた一連の施策によって、地域ではどのように活性化が進み、あるいは動きが取れず停滞しているのか。その実体に迫りながら、本当に必要とされていることは何なのかを明らかにしたい。 今回はこの不況の時代にあっても活発な開発が進む北部九州の福岡県にスポットを当て、ケーススタディとして深めてみることにした。 福岡県では、大規模プロジェクトが、福岡市内や小倉で進められている一方、風光明媚な自然に恵まれた地域や歴史ある旧中心市街地がたくさんある。そうした小さな地域にもスポットを当て、開発とは何か、地域にとって持続性のある活性化とは何かを探ってみたい。
(特集担当編集委員/丸谷博男)
地方都市の活性化──その主人公は誰か/佐藤 滋 |
ランドスケープの昨日・今日・明日 05 植物を扱う/浅井 義泰 |
面白かった本・気になる本 |
特集 都市デザインの新潮流は都市空間を再編しうるか
民族大移動といわれた大都市圏への集中と圏域の膨張は前世紀の終盤に止まり、日本も都市化社会から都市型社会に移行した。とはいえ、都市の内部や周辺では機能と空間が変化し続けている。地方都市では郊外への拡散と中心市街地の衰退が進行。大都市では超高層オフィスや住宅による高密度開発の陰で、一部の業務地区は衰退している。そして、大都市圏郊外の衰退は明らかな兆候がみられる。
都市変化のダイナミズムを都市空間の有効な再編に導くのはこれからの重要な課題である。もはやニュータウンや大規模再開発といった従来の手法が通用するとは思えない。そこで最近注目されているのが、早くに都市型社会に移行した欧米で試みられている都市デザインの新潮流、コンパクトシティやアーバンビレッジ、ニューアーバニズム等である。それぞれ目的や背景に違いはあるようだが、ヒューマンでコンパクトな都市スケール、自動車だけに頼らない移動手段、適度な用途の混在、伝統的コミュニティやデザインの尊重など、共通のベクトルを持っている。
日本では、例えば「コンパクトシティ」が中心市街地での居住回復を図る地方都市の計画手法とされる一方で、大都市の超高密度大規模開発で同じ言葉が語られるなど、ずいぶん混乱した使い方がされている。しかし、都市マスタープランに取り入れられたり、研究会が組織されるなどの動きが活発である。果たして近代都市計画の限界を超えるものなのか否か、識者の意見をレビューしてみる。
(特集担当編集委員/鎌田一夫・林工)
都市計画の普遍的理念に向かって /高野公男 |
《連載》 |
面白かった本・気になる本 |
新建のひろば |
特集 いい建築が生き続けるために
建造物が文化財として認められる場合、意匠・技術の優れたもの、歴史的価値や地域的な特色が顕著なものなどとされるが、「いい建築」と言った場合、そうした学術的な側面だけでなく、多くの市民に愛されるという側面が大切なのではないだろうか。
二〇〇二年一二月、東京都国立市に建設されたマンションが、建築基準法には反していないものの、基準法自体は最低基準でしかなく、地域住民が守り育てきた良好な景観利益を侵害したとの画期的な判決が出た。法律を守るだけではいい建築をつくり得ない、守り得ないことが司法の場ではっきりしたのである。
また、いい建築を使い続けようと思っても、公共施設の場合、新築に対しては補助金が出ても改築に対しては出なかったり、住宅であれば、持ち主が亡くなると相続税を払うために壊さざるを得ないなど、現行の税制等では保全・改修して使い続けるのにきわめて不利なかたちになっている。
法律を運用する行政側では、法的不備がなければ確認申請を下ろさざるを得ず、結果として市民のためにはならないことも往々にして起こる。
法律や制度が完全なものではないという認識と、いかに改善していくかという視点が重要になってくるだろう。
設計者や施工者は、保全・改修が進めば自分たちの仕事が減ってしまうという「誤解」を拭い切れないでいる。使い続けることが可能なのかどうかも十分検討せず、新築をすすめる姿勢はそろそろ改めなければならないし、新築、改築、改修、それぞれの価値を多義的な視点で伝えていく役割があるはずである。
今回の特集では、各地の保存運動を取り上げ、それぞれの運動の中の様々な局面において、残そうとする力、壊そうとする力がどのように働いたのかを見ていきたい。市民の声、所有者の意向、専門家の動き、行政の立場、法制度などを軸にして、いい建築が生き続けるために必要なものとは何かを浮き彫りにしたい。
(特集担当編集委員/桜井郁子)
建築と都市空間の社会学的意味について /天野徹 |
《連載》 |
新建のひろば |
2002年月5月号(No.310)
■年間特集■
「誰のための新制度か」その2 社会福祉の基礎構造改革と高齢者の暮らし
少子・高齢化の進展、高齢者をめぐるニーズの拡大や多様化、経済状況の厳しさなどを「背景」として、措置制度の原則的な廃止、福祉の市場化、競争原理の導入等による社会福祉の「基礎構造改革」がすすめられている。介護保険制度や支援費制度は、この基礎構造改革に基づいて行われた大きな制度改革の一つである。
これらの制度改革の結果、サービスを自己決定できない高齢者、低収入などのためサービスを自己規制する高齢者、市場化や競争原理に起因する事業者のサービスの押し付けやトラブル、必要な施設を選択できない高齢者など多くの課題も生じている。
一方、社会福祉関係者、医療関係者そして建築関係者等は連携して、高齢者が安心して住みつづけることのできる住宅改善への取り組みや、一人一人の暮らしを大切にし、地域とのかかわりを大切にする高齢者施設整備など多くの経験を蓄積してきている。
本特集では、高齢者の暮らしをめぐる居住環境の課題を梗概すると共に、住まいの改善や高齢者施設の整備などについて、全国に広がるさまざまな取り組みを紹介する。
(編集担当編集委員/鈴木晋)
社会福祉基礎構造改革と高齢者の生活 | 川上昌子 | ||||||
介護保険の住宅改修はうまくいっているか――高齢者の住環境整備をめぐる課題 | 鈴木晃 | ||||||
高齢者施設をめぐる最近の動向と課題 | 萩田秋雄 | ||||||
【01在宅で暮らす】
|
|||||||
【02ケアハウスで暮らす】
|
|||||||
【03グループホームで暮らす】
|
|||||||
【04施設で暮らす】
|
|||||||
【05高齢者と暮らし】
|
■連載 |
《忙中閑》 古民家の宿 | 荒川千恵子 |
《NPOを訪ねる14》余市教育福祉村 | |
《新伝統木造セミナー12》床組・格子梁の可能性 | 増田 一眞 |
《主張》「水」について考えよう | 平本重徳 |
《ランドスケープの昨日・今日・明日 02》公園の濫觴 | 浅井義泰 |
《暮らしの採集 0002》電柱の記憶 | 岡本信也 |
《ワーク&ワーク新建78》さんむフォレスト――地産地消の住まいづくり | 稗田忠弘 |
面白かった本・気になる本 濱惠介著『わが家をエコ住宅に――環境に配慮した住宅改修と暮らし』(学芸出版社) 北沢猛編/アメリカン・アーバンデザイン研究会著『都市のデザインマネジメント――アメリカの都市を再編する新しい公共企業体』(学芸出版社) 小泉秀樹・西浦定継編著『スマートグロース――アメリカのサステイナブルな都市圏政策』(学芸出版社) |
2003年月4月号(No.309)
■特集■建築と建設業のリサイクル
環境問題が叫ばれて久しい。自然環境の自己回復力をはるかに上回る打撃的な人的営為を続けてきた近現代の経済活動、いまになってようやくそのことが認識された。
その人為の中でも建築行為や開発はきわめて大きな影響を与えてきた。建築や土木構築物を造るときは多くの自然資源を破壊し、壊すときにも大量の廃棄物を排出する。スクラップアンドビルドの思想無き思想がうみだした「成果」である。
建材や工法におけるリサイクルの視点、製造時における省廃棄物化、建物を長持ちさせるメンテナンスのあり方、あるいはリユースなどの発想──。危機が深刻に認識されたこの時点で、建築の生産・利用・解体・廃棄・再利用のあらゆる面において、省資源・省エネルギー・環境小負荷の姿勢を貫くことが社会的要請となっている。
急激な経済成長に支えられてきた従来型の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会構造を改め、天然資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り低減していかなければならない。
そのためには、行政・事業者・国民がそれぞれ役割分担し、(1)廃棄物等の発生抑制、(2)循環資源の循環的な利用、(3)適正な処分の確保、を行う「資源循環型社会」を形成する必要がある。
平成12年に「循環型社会形成推進基本法」が制定され、現在官民をあげて取り組みが進められており、建設分野においても、建設副産物の適正処理と再資源化の促進を図るために「建設リサイクル法」が制定され、平成13年5月30日から分別解体及び再資源化等の義務付け等が行われた。
建設分野においては、全産業に対するバージン材の利用量は約5割、最終処分量は約4割を占めており、これらの利用量及び処分量を可能な限り削減することは急務となっている。
建設系廃棄物の最終処分量を削減するためには、バージン材を使用した建築資材を代替する建築系廃棄物を原材料として利用した建築資材(リサイクル建築資材)を活用することが重要である。そのためには、「建築・解体時の資材の分別」、「リサイクル建築資材の製品化」、「リサイクル建築資材の利用」の3段階の取り組みを適正に進め、建築資材の循環を図る必要がある。
現状では、これら3段階の取り組みのうち「建築・解体時の資材の分別」については、建設リサイクル法の制定により、解体現場や中間処理施設等で適正な処理が進みつつあるが、「リサイクル建築資材の製品化」、「リサイクル建築資材の利用」については、グリーン購入法による環境への負荷が少ない物品等の調達の推進、環境負荷削減の製品指標であるエコマークの普及等の取り組みはあるものの、製品化に係る技術開発や利用の拡大は大きな課題となっている。((財)日本建築センター『建築系廃棄物を利用したリサイクル建築資材に関する提案募集』より一部引用)
現状では各種分野での取り組みはほとんどが試行段階であるが、そうしたもの中から今後の建築・建設業のあり方について何らかの方向性を見いだしていきたいと願い本特集を取り組んだ。
(特集担当編集委員/丸谷博男)
建築のライフサイクルを通して見たリサイクル | 小西敏正 |
建築インフィルのリース化 | 野城智也 |
住宅のリサイクルを考える | 福田展淳 |
解体業はリサイクル時代にどう立ち向かうか | 桑原次男 |
町場の建築におけるリサイクルの現状 | 菊池祐司 |
古材リユースの現状 | 石川重人 |
産業廃棄物の貝殻にさまざまな効能が発見される | 丸谷博男 |
■連載 |
《忙中閑》 茨城県里美村 | 荒川千恵子 |
《NPOを訪ねる13》アレルギーネットワーク | |
《新伝統木造セミナー11》軸力・剪断系軸組の架構計画 | 増田 一眞 |
《主張》イラク侵略と地方選挙、何かが変わりつつある | 竹山清明 |
《ランドスケープの昨日・今日・明日 01》都市の自然 | 浅井義泰 |
《暮らしの採集 0001》物干し場 | 岡本信也+岡本靖子 |
《ワーク&ワーク新建77》ニューファミリーの住まい | 砂田芳道 |
2003年月3月号(No.308)
■特集■住みての協同で住まいとコミュニティをつくる
コーポラティブ住宅がわが国ではじめて実現してから四半世紀以上がたち、コーポラティブ住宅という概念は定着してきました。そして今、改めてコーポラティブ住宅が注目されています。デベロッパーなどが商業的な戦略としてマンションにコーポラティブの名をのせ自由設計マンションとして売り出す一方、つくば方式に見られる定借型のコーポラティブや、特定の地域性を求めたコーポラティブなど新たな展開が生まれています。また、阪神淡路大震災の後に建設された震災復興コーポラティブでは、単に住まいをつくるだけでなく、まちづくり・コミュニティづくりに力を発揮しました。
本特集では震災復興や地域の再生をかけた共同建替と、激安高機能仕様のマンションに飽き足らない人たちが新しい魅力を求めてつくるコーポラティブ住宅を取り上げ、座談会でその本質を探ります。自分たちの住まいをどのようにつくっていくか、困難な時代だからこそ集まって考えたそんな事例から、これからの集合住宅のありようが見えてきます。
(特集担当編集委員/光田康宏・桜井郁子)
K-Flatsでの経験 | 絹川雅則 |
共同住宅「みくら5」と御蔵地区のまちづくり――コーディネーターまち・コミュニケーションとして | 宮定章 |
コーポラティブ住宅の今――尼崎・伊丹での取り組み | 佐藤慎治 |
みずからの住まいづくりがみんなのまちづくりにつながっていく ――北区神谷一丁目地区共同建て替え「セレス」神谷 |
江国智洋+樋口勝一 +三浦史郎 |
《座談会》コーポラティブ住宅に見られる住まいづくりの極意 |
伴年晶+久永雅敏 +藤田忍+竹山清明 |
■連載 |
《忙中閑》 さとうきびの花 | 永井 和子 |
《NPOを訪ねる12》グループやさしい家 | |
《新伝統木造セミナー10》曲げ・剪断系軸組の架構計画 | 増田 一眞 |
《主張》京浜臨海部再生に想う | 永井幸 |
《家具とインテリアの近代19》(最終回)デパートの家具展 | 中村 圭介 |
《風景を見つめる手12》(最終回)描くこと | 永橋 爲成 |
《ワーク&ワーク新建76》木造建築構造設計支援ソフト | 木村惇一 |
面白かった本・気になる本 『密集市街地のまちづくり―まちの明日を編集する』黒崎羊二/大熊喜昌/村山浩和+り・らいふ研究会編著(学芸出版社) 『「住まいづくり」考――家族像の不確かな時代に』山本厚生編著(萌文社) |
2003年月2月号(No.307)
■年間特集■
「誰のための新制度か」その1 基準法・都計法改正は何をもたらしたか
日本の都市づくりはいったいどこへ向かっているのだろうか。
その道はいわゆる55年体制と呼ばれる「戦後制度」から始まった。戦後制度は高度経済成長をリードし、70年代以降は徐々に改変され、90年代にいたってさまざまな部門で根本的な改正がなされた。このパラダイム変換は21世紀の日本を創造していけるのであろうか。
今年度、本誌は「だれのための新制度か」を問い続ける。
第1回の今月は、建築基準法と都市計画法の改正を取り上げる。同法は言うまでもなく日本の建築とまちづくりの根幹を成すレギュレーションであるが、1998年に基準法、2000年に都計法が相次いで大改正された。この改正は、規制緩和・民活・地方自治などのキーワードで特徴づけられる。これは90年代新制度に共通するもので、これからの社会の趨勢と受け止められているが、いずれも両刃の剣という性格を秘めており、抽象論に止まらず実態に即して評価していく必要がある。本特集では98年の基準法改正を軸に、関連する前後の改正がもたらした影響を点検評価する。施行後日が浅い改正都計法についても見えてきたところは取り上げていく。法規制に対して技術者はどう社会的責任を果たすのかをともに考えたい。
(特集担当編集委員/大崎元)
建築と都市開発をめぐる制度改革の特徴 | 片方 信也 |
一連の都市計画法・建築基準法の改正は「市民社会」の構築に役立つか | 成岡茂 |
札幌市内における大型店建設の問題 |
大橋周二 |
地方都市から建築基準法・都市計画法改正を見る | 伊集院豊麿 |
建築基準法改正後四年間の状況をどうみるか | 蔵田力 |
連担建築物制度はどうなったか | 竹山清明 |
【解説】建築基準法(1998年)・都市計画法(2000年)大改正の再点検 | 鎌田一夫+大崎元 |
■連載 |
《忙中閑》 糸芭蕉 | 永井 和子 |
《NPOを訪ねる11》都市住宅とまちづくり研究会 | |
《新伝統木造セミナー9》曲げ・軸力系軸組の架構計画 | 増田 一眞 |
《主張》土地に思う | 川本真澄 |
《家具とインテリアの近代18》船舶・車輌のインテリア | 中村 圭介 |
《風景を見つめる手11》願い | 永橋 爲成 |
《ワーク&ワーク新建75》S邸 | 折本和洋 |
2003年月1月号(No.306)
■特集■地球温暖化に挑む建築の現場
地球温暖化が話題となって久しいが、ここ数年の気候変動は異常気象などの目に見える環境被害となって現れてきた。温暖化によって地球環境が変わるなど遠い未来の出来事だと高をくくっている間に、平均気温は上昇し続け、このままでは経済優先で走り続けてきた社会をおびやかすまでの緊急事態となってしまった。
温暖化を防ぐためには、CO2をはじめとする温室効果ガスの濃度を一定レベルまで削減する必要がある。一九九七年の京都会議(COP3)では、先進各国が削減するCO2の数値目標を定めた。ここで採択された京都議定書に批准した日本も、二〇一二年までに一九九〇年比6%の削減をしなくてはならない。しかし具体的な対策がとられないまま、排出量は増え続けているのが現状である。
建築物は建設してから廃棄するまでに、大量のエネルギーを消費しCO2を排出している。風力、太陽光などの自然エネルギーの利用、建物運用における省エネ対策、長寿命化、リユースや廃棄までを視野に入れた計画が求められている。また建物の性能向上と同時に、エネルギー消費を抑え、環境に配慮したライフスタイルの提案と実践が期待されている。
循環型社会への転換を迫られる時代に、建築に携わる人たちの役割はとても大きい。温暖化という地球規模の問題に対して、建築の立場から身をもってできることは何なのか。ともにその道を考えたい。
(特集担当編集委員/飯島晃子)
地球環境問題と建築 | 小玉祐一郎 |
二酸化炭素削減に向けて――建築への要望 | 森本秀香 |
緑地環境と温暖化防止 | 浅井義泰 |
木材の循環と地球温暖化 | 高口洋人 |
自然素材でつくるエコビレッジ | 相根昭典 |
既築住宅の改修とエコライフ | 濱惠介 |
建築の長寿命化とリサイクル可能な建材 | 樫野紀元 |
■連載 |
《忙中閑》 ギンネム | 永井 和子 |
《NPOを訪ねる10》日本民家再生リサイクル協会 | |
《新伝統木造セミナー8》剪断系軸組の架構計画 | 増田 一眞 |
《主張》建築家技術者の社会的責任について | 高橋偉之 |
《家具とインテリアの近代17》レーモンド夫人の家具 | 中村 圭介 |
《風景を見つめる手10》丘 | 永橋 爲成 |
《ワーク&ワーク新建74》日生化工第2工場 | 石間均 |