2020年5月号(No.496)

新建設立50周年記念特集ー5

建築まちづくりに係る政策と法制度のあり方 

 

国土・都市計画の50年をふりかえり:岩見良太郎/この間の住宅政策は国民の居住に何をもたらしたか:坂庭国晴/団地再生などのまちづくりと政策・法制度:江國智洋/あの法制度に一言 調整区域と生産緑地―都市と農:浅井義泰/地区計画制度を活用した住民主体のまちづくり:三宅毅/地域行政の中にいて:石原隆行/施設設計を通
して技術者が感じる法制度の課題:大坪克也/あの法制に一言 構造の安全性─建物の崩壊形の検証:摺木勉/増改築による性能向上と法手続き:野田明宏/巨大開発に対する市民運動と司法的解決の歴史と現状:日置雅晴/再開発と区画整理に向き合って考えたこと:遠藤哲人/借地借家人の権利を守って:細谷紫朗

  

 国土・都市計画の50年をふりかえり                  岩見 良太郎
この間の住宅政策は国民の居住に何をもたらしたか          坂庭 国晴

 

<建築家技術者の営為と政策・法制度>
団地再生などのまちづくりと政策・法制度              江國 智洋
あの法制度に一言─────調整区域と生産緑地/都市と農         浅井義泰
地区計画制度を活用した住民主体のまちづくり            三宅  毅
地域行政の中にいて                        石原 隆行

施設設計を通して技術者が感じる法制度の課題            大坪 克也
あの法制度に一言──構造の安全性/建物の崩壊形の検証         摺木 勉
増改築による性能向上と法手続き                  野田 明宏

 

<住民運動と政策・法制度>
巨大開発に対する市民運動と司法的解決の歴史と現状         日置 雅晴
再開発と区画整理に向き合って考えたこと              遠藤 哲人
借地借家人の権利を守って                     細谷 紫朗

 

◆新建のひろば

・第32大会期第3回常任幹事会報告

・新建災害復興支援会議からのお知らせ

 

◆新建50周年記念 東京支部総会基調講演

 

◆会員のみなさまへ

  

◆連載

世界の災害復興 から学ぶ5台湾921地震からの復興         室崎 益輝

新日本再生紀行 26大阪府堺市(2)              栗山 立己

暮らし方を形にする5ひとりで気ままに暮らしたい          山本 厚生+中島 梢


主張  『事実を見抜く姿勢を持ちたい』

とも企画設計/全国常任幹事 高田桂子

 

 新型コロナウイルス感染拡大で毎日世界の多くのニュースに接するようになりました。報道の表面だけでなく裏に隠されている事実を見抜く目・姿勢が大事であることを感じています。今年は、核兵器不拡散条約(NPT)が発効されて50 年の節目の年です。
 NPTは核兵器が際限なく世界に広がらないよう規制をする代わりに、大国5か国に限って核兵器を認めた条約です。当時は東西冷戦体制のなか核開発が盛んに行われ、アメリカが1946年から1958年までに67 回の核実験を行い、フランスと中華人民共和国が核実験に成功した1968年には「世界終末時計」7分前になったという時代です。2020年現在は100秒前とされ、さらに危機的な状況です。
 NPT再検討会議は、発効後、核軍縮がどのくらい誠実に進められたかを確認していくことを目的に、5年に一度行われてきました。今年は再検討会議が4月から5月に行われる年であり、私も昨年から取り組みの前進になるだろうと期待していました。
 特に2017年に核兵器禁止条約が国連で採択されてから初めての再検討会議になります。再検討会議にあわせて原水爆禁止世界大会もニューヨークで行われることが決まり、職場でも地域でも一連の取り組みに代表を送ろうと取り組みが高まってきていた時期に、新型コロナウイルスが世界中に広がりました。代表を送ることも再検討会議も原水爆禁止世界大会も延期・中止になりました。実行委員会が努力してニューヨークでの原水禁世界大会は、4月25 日にオンライン世界大会を開く準備を進めています。
 こうした動きは国の代表である国連という枠を越え国際非政府組織(NGO)や各国の核兵器に反対する諸被曝者団体や諸団体、そして私の周りにいる地域の人々によって支えられ、動かされていることを新型コロナ禍によってあらためて実感しています。
 国連で核兵器禁止条約が会議項目として提案された時、私自身は突然の提案と感じてしまいました。2017年に採択された後、各国の批准が始まりましたが、発効はもちろん実効性が低いと感じている人が今も多いでしょう。しかし、国連では大国に属さない国々の力、繰り返し行われてきたNPT再検討会議などの取り組み。そして被曝者の思いを受け止め、核兵器はいらないという声を次世代につなげようという地道な動きは、私たちが普段目にしない報道の裏側で広く世界中で取り組まれていたことに、後日注意していると気づきました。
 報道で知らされなかった事実が突然目の前に晒され、これまでの「常識」が突然変わった強烈な経験が私にはあります。ベトナム戦争終結です。 
 1975年、アメリカが負けベトナムから撤退していく前後の一週間の報道では、アメリカの圧倒的劣性が次々に明らかになっていきました。主に最後の砦になっていたホーチミン市の市民を巻き込んだ撤退劇は、それまで日本で報道されていた「常識」ではまったく想像できなかったものでした。

 私の両親は真実を追求したいという思いを持っていたので、ベトナム戦争報告会のような催しに小学生の頃から私たち姉妹を連れて行ってくれ、ナパーム弾によって非人道的な行為が行われていることなどを教えてくれました。それでも私にはベトナム戦争が実際どうなっているかリアルな情報は伝わってこず、大国アメリカが撤退ということはないのではないか、という思いもありました。今思うとなんと非科学的なことをと思いますが、十代の子どもには限界だったのかもしません。しかし、私には社会をどう見るかという基本的な考え方を得るには必要な経験でした。報道されていることがすべてではないこと。世の中を根底で動かしているのは経済力や軍事力が大きな国ではなく、小さな国々や地道に生き努力している人々だということです。
 建築とまちづくり誌は、新建会員の日頃の地道な活動を紹介し広げていく場であり、報道が伝えない建築とまちづくりの現場を伝え、なぜそうしたことが起こっているかを掘り下げる場です。社会事象の裏に多くの人たちの取り組みがあることを忘れずにと思います。
 感染拡大で私たちの仕事や生活が大きく変わろうとしています。さまざまな情報に惑わされず、交流し、確かな歩みで乗り越えていきましょう。


常任幹事会 ─ 第32大会期第3回常任幹事会報告

  日時:2020年4月11日(土) 12日(日) 

  場所:Web会議

  参加:14名

 

4月11日(土)、12日(日)に常任幹事12名全員と幹事会顧問1名、代表幹事1名の出席でWeb会議による常任幹事会が開かれた。

支部活動状況アンケート

 各支部に支部状況を確認するための支部状況アンケートを依頼し、8割から回答を得た。内容をまとめ、全国幹事会議案資料とする。アンケートを参考に常任幹事は担当支部との連絡を行う。

 

全国幹事会・ブロック会議の開催方法、時期

 延期となった全国幹事会は原則、書面決議とする。5月中に全国幹事会議案を作成、配信し6月中にWeb会議等を経て決定する。IT利用が困難でも、ネット環境があれば可能なのでブロックでフォローする。

 

「活性化」「政策」「Web」他の委員会構成、委員会活動のすすめかた

 各委員会構成の常幹案をもとに原則、各委員長から推薦委員に確認して決定する。各委員会の活動内容およびWeb会議の提起を全国幹事会に提案する。

 

建築とまちづくり誌~今後の特集企画

 これまで50周年記念特集号は当月発行できており、今後も予定通り発行する。来年は頁数を元に戻し、ホームページとの連携も含めての特集企画を検討する。各企画の中止により、「ひろば」「50周年企画報告」の記事がないため、各地の動きの交流、各委員会報告なども載せていきたい。

 

「新建50周年・未来への会員アンケート」の設問案、スケジュール等

 同アンケートを建まち6月号に掲載、ホームページ、メールにてお知らせする。7月末回答締切。

建まち12月号に1次結果を掲載、2021年に「新建白書」をまとめる

 

50周年記念企画~開催時期、方法

 コロナ禍の影響で準備作業ができないので11月開催は延期し、来年秋の全国大会にあわせて記念企画実施することを検討する。

 

第31 回全国研究集会~開催時期、IT利用等の方法検討

 今年11月の開催は準備作業ができないので、延期や実施形態、方法の変更を検討する。実践報告集を刊行する案が有力。分科会単位で事前にWeb会議等により議論をすすめ、ホームページ、ユーチューブ等の媒体での発信を検討する。

 

支部・ブロックの活動(50周年事業含む)~支部状況等の確認

 今回の支部アンケートで各地の状況が報告されているが、当初の計画はほとんど中止、延期となっている。支部やブロックでもWeb会議等を提案していく。

 

補正予算~全国会議、企画の変更を加味して再検討

 正味財産を繰り入れて50周年関連事業費をまかなう補正予算を立てたが、これらの事業や会議が中止、延期になることから再検討をする。事業変更を反映させた補正予算を作成し、全国幹事会の承認を得る。

 

月次組織財政~半期経過の状況

 会費納入率が低く、終始マイナスの状況で推移している。滞納の多い支部、活動が停滞している支部については、それぞれの状況を聞き取り、今後の対応について話し合うようにする。

 

各機関会議のあり方

 全国幹事会は議題が多く報告ばかりになって、十分に意見が出せないなどの課題は、運営の工夫が必要である。今年はブロックのWeb会議で検討を深めるなどを試行してみる。常任幹事は最小限の人数で始めたが、特別委員会や支部会員数との関係を鑑みて増員を検討する。

 

その他

 専従事務局員募集については、募集要項を作成し、関東の支部に呼びかける。規約改定については、改正案の段階まで進み、各機関会議での検討ができる状態であるが、緊急性は高くない。事務局移転については緊急性は高くないが条件のみを把握しておく。一方通行の会員メーリングリストの構築が遅れているので、各支部に会員のメールアドレスの提供をお願いする。

(全国事務局長・大槻博司)