新建築家技術者集団第23回全国大会 特別決議

去る9月11日、ニューヨークで起きた同時多発テロは、阪神大震災にならぶ多くの尊い命を奪い、全世界にみぞうの衝撃を与えた。

人々の命と生活を守る建築と豊かな生活環境の創造に携わる私達は、想像を絶する残酷さで建築を破壊し、無垢の人命を奪い、人道と法をじゅうりんするこのテロ行為を断じて許すことはできない。私達はちゅうちょなくテロ集団を糾弾し、一日も早く犯人が法によって裁かれ、テロが根絶することを望む。

その後、アメリカ軍とその同盟軍による報復の軍事行動がアフガニスタンで行われている。日本では、国民が危惧する問題点は解明されないまま、国会で成立した「テロ対策特別措置法」によって、自衛隊が支援行動に出動した。

しかし、報復の軍事行動は、罪のないアフガニスタンの人々を大量に殺傷し、国土を荒廃させ、その悲惨さから、報復行動への反感を広げ、異文化の対立をあおり、テロ撲滅の国際連帯を分断し、さらなるテロに口実を与えることにさえなる。

2001年3月、シルクロードの中心地であるバーミヤンの大仏遺跡が、イスラム急進主義者の手によって破壊され、世界中の人々に深い落胆が広がった。私達は、人類の遺産を破壊する蛮行を決して許すことは出来なかった。

ところが今、軍事行動による容赦のない破壊でアフガニスタンの遺産地帯の危機的な状態が広がっている。報復による戦火と混乱で破壊が破壊を呼ぶという悪循環を、いまこそきっぱりと断ちきらねばならない。

第23回大会で採択した「新建築家技術者集団憲章」の締めくくりは「建築とまちづくり、生活と文化、自由のために平和を守ろう。」(第6項)となっている。この主旨に立って、アフガニスタンにおけるアメリカ軍と同盟軍の軍事行動の即時中止と、全世界の連帯でテロを裁くことを強く要求する。

2001年11月24日
新建築家技術者集団第23回全国大会