2018年4月号(No.473)

文化財行政と地域文化のこれから

 

文化財の保存と活用は明治期以来の長い歴史をもつ。しかし、その途は平坦なものではなく、時代にほんろうされながら守り継がれてきた。今日では、文化財を観光資源としかみない大臣発言に見られる、新たな憂慮すべき状況もうまれている。本特集はそうしたなかで古都奈良を舞台に脈々と受け継がれてきた建築技術と、それを支える行政と技術者の営みを俯瞰して、文化財と地域文化の在り方と課題を提起する。

 

・文化財からの発想~地域のコミュニティとしての文化財と博物館  浦西 勉

・日本と台湾における文化財行政                 山田 宏
・先史時代の木工と建築技術                   松田 真一
・親しんだ町並みを引継ぐために                 増田 明彦
・興福寺中金堂再建と技術の伝承                 國樹 彰
・文化遺産とともに生きる                    海野 聡
・奈良県文化財行政の中で受け継がれていく技術職員のあり方    松井 正和

 

◆新建のひろば

講座「シェアハウスの実践と新たな住宅セーフティネット」の報告

東京支部──連続講座「20世紀の建築空間遺産」第1回目、第2回目の報告

福岡支部──「新建ゼミ2018シリーズE」講演会の報告

・復興支援会議ほか支援活動の記録(2018年2月1日~ 2月28日)

 

◆連載

《英国住宅物語14》ハウジングの方向転換 コミュニティ企業による住まい・まちづくり  佐藤 健正

《普通の景観考6》しわだらけの尾道                          中林 浩

《創宇社建築会の時代32》創宇社建築会の人々と戦後建築                佐藤 美弥

《書棚から》ボローニャ紀行

    

主張『知恵と技術とAIと~「技術」が技術を低下させる

F.P.空間設計舎/新建全国常任幹事 大槻 博司

 

 電動工具もなく、レーザーレベルのない大昔、人の手による知恵と技術は、試行錯誤と工夫を重ねて、千年単位で建ち続け、後に文化財となる建造物をつくり上げた。後世になってもそれらの技術は解体修理を通じて伝承されてきた。しかし、その優れた技術は、それを伝承することよりも、文化財建造物を使って儲けることを優先する力によって徐々に失われて、いま危機に直面している。
 一般に世の中の技術は進歩し続けている、進歩させ続けなければならないと考えられている。学校を出て就職してしばらくした頃、ファクシミリという機械が配備され、「昨日送りましたがまだ届いていませんか」という時間稼ぎができなくなった。またしばらくしてワードプロセッサーが出現し、「あなたは字が下手だから、これで文書をつくりなさい」と、下手な手書きの報告書作成からは解放された。その後パソコンが普及したかと思うと、目まぐるしく新しい技術による便利なものが怒涛のごとく押し寄せ、その波に乗れずに溺れそうになりながら漂っている。そしてとうとう人工知能が人にとって代わる、そこにはバラ色の世界が待っているかのように喧伝されているが、果たして誰にとってバラ色なのか。ロボット掃除機が忙しい人を幸せにしたかどうかはわからないが、少なくとも洗濯機の登場はタライと洗濯板から解放され、幸せをもたらしたと思う。しかし、脱水機を見たときはローラーで挟んでグリグリ回すのとあまり変わらないような気がした。いわゆる三種の神器までが人々のための「技術」で、それ以降の技術の進歩は誰かが儲けるための「技術」だと思う。少なくとも携帯電話や電子メールは私を幸せにしていない。「技術」には人を幸せにするものと儲けるためのものの2種類があり、近年は儲けるための「技術」が人の「技術」を低下させている。
 改修の仕事を始めた25年ほど前、発注者に、「ペンキはローラーで塗るのと刷毛で塗るのとどっちが正しいと思うか」と聞かれ、「刷毛ですよね」と自信なげに答えた。「ローラーは膜厚が確保できない、刷毛目なく膜厚を確保するのが塗装の技術である」と訓示をもらった。近頃の若い塗装職人は刷毛を持たず、ローラー一本で仕事をしている。細い丸パイプも壁際の入隅もローラーで塗る。その結果、当然ながらパイプは筋状に塗り残しができ、鉄の塗料で壁をベタベタに汚すのだが、まったく意に介していない。合成樹脂の技術の進歩で耐候性が向上し、膜厚不足が致命傷ではなくなっているのである。また、塗装の前にサンドペーパーを掛けていないので指摘すると、「プライマーを塗るので問題ない」と主張する。目粗しを省略し、さらに少々埃が残っていても強力に接着する、この「プライマー」こそが技術を低下させる技術なのである。プライマーは下地と上塗りの相互の接着性を高める役割りで、塗装だけではなく塗膜防水などの分野でも以前から用いられている。近年はプライマーがどんどん強力になり、バルコニーの溝を掃除しなくてもプライマーを塗ればウレタン樹脂の主材は密着する。しかし、場合によっては主材の乾燥収縮力に引っ張られ下地の旧塗膜防水が一番下のコンクリートから剥がれてしまうことがあるが、それを「前の工事が悪い」と下地処理を省略したことを棚にあげる。もはや技術というよりモノの道理の問題であるが、かくもプライマーが強力になっているのは、「ペーパーを掛けなくても掃除をしなくても接着するものが欲しい」という施工者の要望に、メーカーが技術を駆使して応えた結果である。
 施工者の技術低下を嘆いて現場で怒鳴っているが、我々設計者はどうか。CADだけで描いているうちに寸法感覚を失っていないか、使い回しによって創造力が低下していないか。プレカット業者が、1、2階の軸が通っていない平面が多くて困る、軸組図や伏図がないので架構をこちらで考えなければならない、などと嘆いているらしい。儲けるための技術を駆使した既製品をCADに貼り付ける、金儲けに加担しているつもりはないが時間との戦いに敗れ、設計ではなく組み合わせだけの作業に陥っていないか。
 モノの道理を覆すような技術には手を染めず、原発やリニアのような人と地球を壊す技術は使わせない、人々の幸せのために知恵を絞って技術を行使する、それが当たり前の社会をつくりたい。

  

 


[東京支部]-『20世紀の建築空間遺産』第1回目、第2回目の報告

  日時:2018年2月14日(水) 第1回

  場所:都市住宅とまちづくり研究会

  参加者: 36名、非会員11名(内学生2人)

 

  日時:2018年3月14日(水) 第2回

  場所:都市住宅とまちづくり研究会

  参加者: 28名

 

 2/14(水)に、小林良雄さん(地域空間研究所)講師による連続講座の第1回目が行われました。約1年かけて8月をのぞく毎月第二水曜日の夜、都市住宅とまちづくり研究会(神田)にて開催されます。『建まち』誌の連載をもとに、誌面では載せきれなかった写真や図面などをスライドで紹介しながら、「20世紀の建築空間の発展・展開において普遍に開く意義がある現存建築を時系列にそって選び、建築の空間構成と質を確かめ、建築関係者には日々の仕事の糧になることを願う」を講座の目的としています。

 紹介する建築は、小林さんが訪れた現存建築であることもキーポイントであり、準備段階ではその建物がどこにあるのかを示せると、より身近に感じられるのではないかという意見もあり、講座のなかでグーグルアースを使い建築の場所を国↓都市↓周辺の町並みと近づきなから示していく試みも取り入れることにしました。やはり建築は実際に訪れて体感しなければ分からない感動が沢山あるものです。講座を通し、建築空間について学び現存する場所を知り、いつか訪れるきっかけになれることを準備スタッフの1人として願っています。

 第1回目の講座は、事前に新建のHPで小林さんの連載をカラー写真で閲覧できるようにしたことの反響も大きく、学生を含む新建以外の方の問合せも大変多かったです。事前に40名の申込みがあり、当日は36名、非会員11名(内学生2人)と多くの方に参加していただけました。

アンケートでは「全回出席したい」「できるだけ参加したい」という声をいただき、好評のうちに終えることができました。

 第1回で取り上げた建築は、「ウィーンの郵便貯金局/オットー・ワーグナー」と「ロビー邸/フランク・ロイド・ライト」です。ウィーン郵便貯金局は、事務棟2棟の間に架け渡した、大空間のヴォールト状のガラス屋根と地下階へ光を届けるためのガラスブロックの床、ガラス天井を支えるための鉄骨柱列が軽快に並んでいて、100年前の建築としては未来の町並みを取り込んだかような印象を与えたのではないか。ワーグナーはそれまで手掛けていた連邦銀行での歴史様式的要素を一切なくし、市民が日常的に訪れる貯金局の空間がどうあるべきかを追求し、市民活動と技術の発展を願う内外空間を示しました。

 ロビー邸は、格式ばった玄関ホールと矩形の箱を部屋割りとした住宅が常識だった時代に、暖炉を核とした居間・食堂が流動的につながる1室空間や、庇やバルコニーによる内外空間の連続性、市街地住宅のプライバシー配慮のため主要室を2階に上げる住空間としています。外部は、目的ごとに高さに変化をつけた連続塀を廻し、プライバシーの確保の上で街路とほどよい関係を生んでいます。これらの手法は、住宅のみならず他の多くの建築に影響を与えたと言えます。あらためて建築空間の本質について学んいきたいと思いました。

(東京支部・木村美千代)

 

 3月14日の連続講座第二回は、エイヘン・ハールトの集合住宅、ブリッツ・ジードルング、シュレーダー邸、バウハウス校舎についての講義で、参加者は28名。

そのなかでも前者2つに関するお話を取り上げ、感想を述べたいと思う。

 エイヘン・ハールトの集合住宅はアムステルダム派建築の最高傑作として有名で、戦間期の人口集中増加のあおりを受け建設されたことでも知られている。日照と標準重視の住棟移行配列へ移る直前で、かつこの忙しない時代状況のなか、その地域の労働者や児童といった一般庶民に配慮して建設された住宅という経緯があり、現代でいうコンパクトシティに似たような意図も感じられた。

 ブリッツ・ジートルングは中央部分に馬蹄形エリアをもち、2階建てテラスハウスを両端にともなう道路が南北に走っている。馬蹄形エリアの中央には氷河の浸食によってできた窪地があり、それを囲むように高木が植生されている。その様子が、小林氏の資料のなかでは「鎮守の森のように」と表現されていたが、団地やそのエリア全体に住まう人々の精神的な意味合いを具現化したような空間を見て、まさしくその通りだと感じた。

 今回の小林氏のお話を聞き、真っ先に思い浮かんだ感想は、(極めて素人寄りの感想で恐縮ですが)単に「この建築家がこの建築物を創った」という事実だけに留まらず、それらの偉人がどのような時代を生きていたのか、どのような考えを持ち合わせていたかということを考えることで、初めてその建築物の真価を知りえるのではないかと、当たり前のことなのだが改めて感じることができた。ブルーノ・タウトは日本への亡命期間に、京都の『桂離宮』を見て感銘を受け、その江戸時代初期の建築を世界に広め伝えたと言われている。建築に触れた際に感じたことや考えたことを自分なりに咀嚼し、それを誰かに伝えていく、インプットしたものをアウトプットしていくという行為は、とても重要かつ崇高なことで、今後生活を送っていくなかでも常に念頭に置いていたい意識だと感じた。

(東京支部・澤田大樹)


[福岡支部]2月例会「新建ゼミ2018 シリーズE」の報告

  『宅老所よりあいの活動を通して見る 建築とまちづくりの可能性』

  日時:2018年2月24日(土)  一部:講演 二部:座談会  

  場所:アクロス2Fセミナー室2  参加:35名

 

  日時:2018年2月25日(日)  見学会

  場所:よりあいの森、宅老所よりあい  参加:17名

 2月24日福岡支部で「宅老所よりあいの活動を通して見る建築とまちづくりの可能性」と題するゼミを行いました。35名の参加がありました。第一部は、宅老所よりあい代表の村瀬孝生さんの「場を育む」の講演。第二部は村瀬氏と地域住民で民生委員の宮野みはる氏、利用者家族で学識経験者の濱崎裕子氏を交えての座談会があり、司会は大坪克也氏でした。座談会形式は発言者の一方通行でなく対話になって考えが掘り下げられ、とてもよかったです。

 現在3カ所で運営されている宅老所は、認知症を抱えたお年寄りの居場所として、また家族の拠点として運営されています。地域からも歓迎されている「宅老所よりあい」の実践理念は、「住み慣れた街で自分らしく暮らす」「これまで培ってきた生活習慣を大切にする」「ありのままに老いて、穏やかに寿命を迎える」「認知症になっても安心して暮らすことができる地域づくり」であります。具体的には、高齢者をたらい回しにしない、隔離しない、縛らない、薬浸けにしない。孤立しやすい認知症のあるお年寄りと介護家族に付き合う、孤立を避ける、そんな支援に努めると言うものです。

 「第2宅老所」の建設にあたっては、ワークショップを通して少しずつ合意を積み重ね、「私たちのよりあい」という共通意識を芽生えさせました。「特別養護老人ホームよりあいの森」の建設にさいしては、職員と支援者の会合を重ねるなかで〝特養に入らなくてすむ特養〞という概念ができました。

 ワークショップが開催されるなかで、同じ敷地内の築70年の民家を地域で孤立するお年寄りへの食事提供のカフェとして活用して、カフェと特養の連携をはかるアイデアも生ました。カフェへの地域住民の参加により特養と入所者を知ってもらい、特養と地域の橋渡しとなるもので、ボランティアの協力によるバザーの成功などの日常的な交流が生まれています。

 翌日2月25日に現地見学会は17名の参加で、3カ所の施設を車で回りました。

▼「特養よりあいの森」は、準耐火構造の木造在来軸組工法、地上2階、敷地面積1221㎡、延べ床面積910㎡、定員は26名+短期入所2名、お年寄りの生活スペースは、8〜10名でなる3つのユニットに分かれています。1階の交流スペースは、無垢の杉材の床と畳敷で、特養で暮らすお年寄り同士、家族同士そして地域のみなさんとつながる広間となっています。「特養」とカフェをつなぐデッキでは、コンサートや映画会、バザーなどの生活を楽しむ場となっています。地下5mに達する熱交換パイプを設置し、地中熱を利用して天然の冷暖房を導入し、省エネと清浄で健康な室内環境づくりに取り組んでいます。

▼「第2宅老所よりあい」は、木造2階建て、敷地面積581㎡、延べ床面積281㎡で、デイサービスと宿泊のゾーンに分かれています。デイサービスの居間では、地域住民と支援者、入所者とその家族が集っています。ここでも地中熱を利用した天然の冷暖房を導入しています。

▼最後は宅老所の発端となった宅老所よりあいを尋ねました。いずれの施設でも、お年寄りになじみのある畳と木が多用され、よりあいの理念があふれていました。

(福岡支部・谷口壮一郎)


[東京支部]-「シェアハウスの実践と新たな住宅セーフティネット」の報告

  日時:2018年2月10日(土)

  場所:新宿区の牛込箪笥地域センター

  参加者:67名

 さる2月10日(土)午後1時30分から午後5時まで、新宿区の牛込箪笥地域センターにおいて、昨年10月に施行された「改正住宅セーフティネット法」に関する連続講座(開催団体:住まいの貧困ネット、住まい連、住宅会議・関東会議)の第5回講座「シェアハウスの実践と新たな住宅セーフティネット」に参加しました。参加者は67名。

 同時期に、国交省は「シェアハウスガイドブック」を発行。その中で「シェアハウスの入居者は、20〜30歳代の社会人や学生が最も多くなっていますが、低額所得者、高齢者、障害者など住宅の確保に特に配慮を要する方々も想定されます。例えば一戸建住宅をシェアハウスに用途変更するために必要となる改修工事について、設計費を含めて補助の対象とすることが可能であり、これにより空き家を活用した要配慮者向け賃貸住宅の供給が期待されています」といっています。その実例の報告を受ける講座でした。

 NPO住まいの改善センター理事長の坂庭国晴氏の開会あいさつのあと、コーディネーターの東由美子さん(建築家。シェアハウス・グループホームの計画・設計を多く実践、女性建築技術者の会)の進行で、3名の方から報告がありました。

 まずは、奥山たえこさん(元杉並区議会議員)。テーマは「住宅困窮者のためのシェアハウス運営・8か月の実践報告」。区議会議員をやめてから、ご自身のミッションの実践の場を持ちたいと考え、一番のテーマである貧困、わけても困っている人のための住まいを確保したいと動き出したそうです。柏駅近くに2000年新築のサブリース物件を10年の事業用新貸借契約で確保し、4LDKの総二階建ての住宅を8つの個室に間仕切り工事をして、家賃2万円〜4・5万円、管理光熱費1万円で入居者を募集。市民運動のメーリングリストに掲載、困窮者支援団体(もやい)などに呼びかけ、シェアハウスの有名ポータルサイト(ひつじ不動産):貸し部屋の面積が規定以下で掲載不可、インターネットの無料掲示板ジモティーに掲載など苦労して募集されました。

 その結果、シングルマザー(+幼児)、男女の単身者、高齢者などに入居してもらっているそうです。しかし、奥山さんご自身が管理人になって東京から通っていますが、苦労されているようです。

 また、消防署の指導があり、煙探知機、消火器の設置。市役所が来て、高齢者が入居し、寝たきりとなると、みなし介護施設となり、スプリンクラーが必要になるなどの指導がありましたが、少なくとも身寄りのない高齢者の受入れはむずかしい、ということになりました。家賃の未納・滞納など、課題はたくさんありますが、奥山さん一代で終わるのではなく、市民運動としてのシェアハウスへの取り組みを続けたいと、今後の展望を述べておられました。

 2番目は、加藤木桜子さん(練馬区議会議員、社会福祉士)。テーマ「ウイズタイムハウス〜2018年5月頃、練馬区大泉学園にオープン予定〜」というお話をされました。きっかけは、福島から東京へ避難して公営住宅で暮らす高齢ご夫婦の、今後の住まいについての相談を受けたことだそうです。また、障害のある人が安心して一人暮らしできる場や、ずっと一緒に暮らしていた高齢の親御さんと障害のある人のサポート体制の必要性などから、拠点となる場所をつくる必要性を感じていたとのことです。「ウイズタイムハウス」は、ともに時を過ごし、時を重ねる場所として、命名したようです。

 土地を購入して、建物も新築。入居対象者は、ちょっと生活にサポートが必要な人、具体的には、介護が必要な人とその家族、障害のある人、障害のある人とその家族、ひとり親家庭の人、ひとり暮らしの人など。募集は、地域の福祉関係の人へのお声かけなど、顔の見える関係のなかで募集する予定とのこと。制度的な位置づけは「寄宿舎」。介護などの継続的支援が必要な人は、外部の事業者の在宅サービスを利用してもらう。当初、リビング・ダイニングとして位置付けていた1階を、障害のある人が働く場……地域に開かれたカフェ……とする。運営は、一般社団法人アライブによる。

 5月にはオープンイベントを計画。「ウイズタイムハウス大泉学園」で検索すると、最新情報がわかるようです。これからが大変なところかもしれません。

 3番目は、中村敏子さん(NPO法人女性のスペース結の副代表、生活デザイン設計室㈱サンク主宰)。テーマ「西山ガーデンハウス(シングルマザーのためのコモンハウス〜女性たちが住みやすい家づくりを目指して〜)」。中村さんのNPO法人女性のスペース結が目指すのは「シングルマザーのキャリアアップと子育ての両立」。入居者は、仕事を持ちながら子育てしている女性、働き続けることを前提に一歩先の「キャリアアップ」に焦点を当てて応援する。入居時に職に就いていなくても、入居後3ヶ月を目指し、就職できることを目指すシェアハウス、と素晴らしいコンセプトのシェアハウスであり、NPO法人です。

 このシェアハウスのオーナーは、NPO法人女性のスペース結の代表理事。建物は鉄筋コンクリート造4階建。1階は、街の住まいの相談室、ちょっと立ち寄れる住まいの図書館、地域の子ども110番。2階は、NPO人女性のスペース結の事務所、カウンセリングルーム、居住者も地域の人も利用できるワーキングルーム(オープンキッチン、子ども遊び場、壁の一部にボルダリングコーナーなど)3階・4階は完全に独立した1LDKが4世帯分。入居者は母子に限定。1年間、家賃を安くして資格を取る人のキャリアアップ支援。

 以上のように、具体的な支援方法などが報告されました。三者三様の素晴らしい取り組みの報告を受け、シェアハウスの広がりをしっかり感じました。報告終了後には、コーディネーター東さんの司会による参加者からのいろいろな質疑があり、パネルディスカッションも盛り上がりました。

 今後も、シェアハウスの企画・運営の分野で、関係者の交流がもてるとよいと思いました。

(東京支部・杉山昇)