250523 「住まいは人権」から建築を考える─2025年 新建懇談会

開催情報

  • 日時:2025年5月23日(金)19:00〜21:00
  • 開催形式:Zoomによるオンライン開催
  • 参加対象:新建会員はもちろん、一般の方も参加歓迎です
  • 申し込み方法:メール madoguchi@nu-ae.com
    お名前・所属・電話番号(メールが届かなかった場合のみ使用)をお書きの上、メールでお申込みください。
    後日、ZoomのURLをお送りします。
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新建懇談会とは?──建築を社会とつなぐ場

みなさんは、「住まい」と聞いて、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。立地の良さやデザイン、広さや設備といった条件を考える方もいれば、家族と過ごす安心感や日々の暮らしの拠点としてのぬくもりを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。

けれども、建築に関わる私たちが見つめ直さなければならないのは、「住まいとは誰にとっても保障されるべき基本的な権利である」という視点です。つまり、「住まいは人権である」という考え方です。

「新建懇談会」は、新建築家技術者集団の政策委員会と編集委員会が共催する、対話と学びの場です。建築の専門家だけでなく、学生や市民、他分野の方々とも情報を共有し、自由に意見を交わすことを目的としています。

昨年より、政策委員会と編集委員会の連携により新たなスタイルでの開催が始まり、より深い議論ができる場として注目を集めています。今年もその流れを引き継ぎながら、時代の問いに応えるテーマとして「住まいは人権」を掲げることになりました。

「住まいは人権」という考え方

「住まいは人権である」という言葉には、単なる理想論では終わらせられない重みがあります。住まいは、人が健康で文化的な生活を送るための土台です。けれども今、日本社会においてこの権利がどれだけ保障されているでしょうか。

若者の住宅確保が困難な都市部、高齢者の住まい探しの難しさ、非正規雇用の増加による住まいの不安定さ、災害時の仮設住宅の限界──こうした課題は、決して他人事ではありません。建築という領域は、こうした現実に目を向け、住まいを社会の制度として捉え直す責任を負っていると私たちは考えています。

新建築家技術者集団(新建)では、こうした問題意識を共有し、現場と理論をつなげながら、建築の社会的役割を問い続けています。

2025年懇談会のキックオフ:中島明子さんのご講演

今年の新建懇談会の第1回では、住宅研究者の中島明子さんをお招きし、住宅問題の現状についての話題提供をしていただきます。

中島さんは、「住まい」を単なる建築物ではなく、暮らしと社会の関係性から捉える視点で一貫した研究を続けてこられました。現在は「東京民報」にて住宅問題に関する連載を執筆されており、その中で語られる内容は、私たちが直面する住宅の課題をより深く理解するための大きな手がかりとなるはずです。


なぜ今、「住宅問題」を議論する必要があるのか

中島さんがご講演で取り上げるのは、単なる住まいの「不足」ではありません。見えにくい制度の壁、社会的に排除されやすい人々の住まいの困難、そしてその背景にある構造的な問題に焦点を当てています。

たとえば、災害後の仮設住宅の課題、高齢者や外国籍の方がアパートを借りにくい現状、ひとり親家庭や若者が安定して住める場所がない実情──こうした事例は、設計や政策の問題を超えて「社会のあり方」にかかわるものです。

建築が「社会のしくみ」と結びつく以上、私たち建築に関わる者は、これらの課題に無関心ではいられません。

続く懇談のシリーズ──実践事例の共有へ

中島さんの講演を皮切りに、今年度の新建懇談会はシリーズ形式で継続する予定です。次回以降は、新建会員が全国で取り組んでいる「住まい」に関する実践事例をもとに、具体的な課題解決や政策提案についての懇談が予定されています。

たとえば…

  • 地方都市での空き家再生プロジェクト
  • 高齢者向け共同住宅の設計と運営
  • 若者やひとり親家庭のための住宅支援施策
  • 多文化共生社会に向けた住宅の在り方
  • 災害時の居住支援や仮設住宅の設計提案

このような現場の取り組みは、まさに「社会の声に応える建築」と言えるものです。これから建築を学びたい方にとっても、実践のリアルに触れる貴重な機会となるでしょう。

建築を学ぶ若い世代の皆さんへ

もしこの記事を読んでいるあなたが、建築を学んでいる学生であれば、あるいは将来建築の道に進もうと考えているのであれば、この懇談会はまさに「入口」としてふさわしい場です。

教科書や設計課題では学べない「現実の建築」、社会とつながる建築の力、そして人々の暮らしをどう包み込むかという根本的な問いに、正面から向き合うチャンスです。

また、オンラインで気軽に参加できるので、学外のネットワークづくりにも役立ちます。世代や立場を越えた対話から、新しい視点やヒントを得られるかもしれません。

「建築」は社会への応答である

「住まいは人権」。この言葉は決して抽象的な理念ではありません。むしろ、今まさに私たちの目の前に突きつけられている「生きることのリアル」に他なりません。

建築とは、単に美しい空間や構造をつくることではありません。人が安心して暮らし、誇りを持って生きるための基盤を支えること。その意味で、建築は常に「社会への応答」であるべきだと考えます。

その第一歩を、新建懇談会という場で、一緒に踏み出してみませんか?

皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

申し込み方法:メール madoguchi@nu-ae.com
お名前・所属・電話番号(メールが届かなかった場合のみ使用)をお書きの上、メールでお申込みください。
後日、ZoomのURLをお送りします。

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