コロナ禍において、対面形式の開催が難しくなってしまった「東京支部実践報告会」ですが、2021年度はリモートツール「ZOOM」を活用して敢行をしてきました。
11月24日に開催した第四回では、竹山清明氏に発表を頂きました。2棟の歴史的様式を採り入れた木造戸建て住宅によるmini街並みづくりの試み、マンションのリモデル(共用部分の機能的とデザインの抜本的改善)の試みなど、ご自身の実践を通じたお話をしていただきました。また、市民的立場からの再開発事業への対案の提案なども積極的にやられている竹山氏の熱意溢れる講演内容は、私たち東京支部が、東京問題などで取り組んでいる運動と共通するところがあり、建築技術者として、日常的に地域の課題に目を向け、発信し続けていかなければならないということを再確認できたように思います。
さらに、現在、ご自身が執筆に取り組んでいる「市民に読んでもらえる、建築デザイン・街並み景観論」のお話や、マンションの大規模修繕に関する図書を出版後、管理組合からの相談が増えたという、ご自身のネットワーク構築のお話も展開されました。それをお聞きし、マンションの住まい手と技術者との関係性をどのように形作っていくかのヒントを得られたように感じます。
★「新長田南地区再生の提案 負の遺産を持続可能な資産へ」は竹山清明さんが市民検証研究会のメンバーとして執筆された書籍です。
12月22日に開催された第五回では、伊藤寛明氏に「最近の仕事から考える、設計者としての職能について」というテーマのもと、プロジェクトマネジメントという仕事についてや、リフォームを通じての建主、不動産会社との関係性についてのお話、それからご自身の活動についてなど、幅広い視点から職能について論じていただきました。
伊藤氏は、「石花師・石花とかん」として、河川敷などで参加者と自然の石を使った、「ロックバランシング」という取り組みをしています。自然素材に触れながらバランス感覚を活かし、自己表現力や集中力を養うこと、そこから繋がるコミュニティについてなど、話していただきました。
私自身も、昨年春から「二拠点生活」のようなことをしており、週末は千葉県九十九里でサーフィンを教えながらコミュニティ形成のワークショップをしたり、山梨県のキャンプ場で、災害時のサバイバル生活体験プログラムを、行政・民間と一緒になって取り組んだりしています。どちらも自然の中で、地域の人と繋がり、時間を共有するという点では伊藤氏と同じような活動をしているのですが、それらを通じ、自身も地域と密接につながっているし、繋がり続けていく事が大切だと、改めて感じました。
「誰もが気軽に参加でき、自分たちの経験や考えをフラットに交流できる場にしよう」と開催してきた今期の実践報告会ですが、その主旨のもと、たくさんの方々に発表いただき、また東京支部以外の会員のみなさんにも参加いただき、多くの交流が出来たのではないかと感じています。コロナ禍がまだまだ続き、面と向かって会うことが難しくなってしまいましたが、東京支部実践報告会全体を通じ、人とかかわる大切さ、経験や知識の共有をしながら、活動をしていく大切さを改めて実感できました。
2022年度も、より良い実践報告会をはじめ、より良い企画を展開できたらと考えています。ぜひみなさんのお知恵を貸していただきながら、企画部としてもより一層積極的に活動していきたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願い致します。
By. 澤田大樹(企画部)