「マイクロプラスチックってなに?」~マイクロプラスチックが人に与える脅威~
事務局長 柳澤泰博
5月28日(土)東京農工大農学部教授 高田秀重さんをお迎えして「マイクロプラスチックってなに?~マイクロプラスチックが人に与える脅威~」と題して講演が開催されました。新建会員も全国から19名の参加がありました。
私たちの日々の生活に切っても切れないプラスチック製品や化学繊維。気が付けば多くの日用品が石油由来の化学物質であふれています。さてその影響は?
・マイクロプラスチックってなに?
プラスチックごみの流出は全世界に広がっています。クジラ、ウミガメ、海鳥など動物がそうしたごみを捕食して命を落とす事例は大きく報じられています。その海や山など自然界に放置されたプラスチックごみが、紫外線や波などの影響により細分化され5mm以下となったプラスチックをマイクロプラスチックといい、全世界の海や陸地に広がっているということです。
・マイクロプラスチックの脅威
そうした微細なプラスチックごみがなぜ問題なのか。そのマイクロプラスチックは海水中に溶けている有害化学物質と結びつき貝や小魚など小動物に捕食されます。固体のマイクロプラスチック自体は排出されても、有害化学物質の一部は体内に取り込まれ蓄積されていきます。その小魚などを大きな魚やクジラなどが捕食し、そうした食物連鎖により有害化学物質が蓄積された魚を人間も食べることにより汚染されていくということです。
・環境ホルモン(内分泌攪乱物質)
その有害化学物質とは、生命体に大きな影響を与えることが分かっている環境ホルモンで、ほとんどのプラスチック製品には、精製過程でそうした環境ホルモンを含む可塑剤、難燃剤などの添加剤が使われています。つまりプラスチックを使う限り、そうした環境ホルモンを人体に取り込んでしまうことは避けられないというのです。
・プラスチックごみの処理
日本ではプラスチックごみを資源回収など行っていますが、ごみとして回収されたプラスチックの70%は焼却されており、結局温暖化ガスの排出となり温暖化の一要因になっているということで、石油由来のプラスっチックはその製造過程でもエネルギーを使い、処分にもエネルギーを使い二酸化炭素を排出し、結局地球温暖化に拍車をかけることになります。
・日常のプラスチック
またアクリルなどの化学繊維衣料品の洗濯によっても繊維が汚れとともに落ち、結果微細なマイクロプラスチックとなり下水放流により流出していきます。そうしたマイクロプラスチックは回収しきれずに自然界にどんどん排出されているということです。
・私たちにできること
こうした状況を踏まえて私たちはどうすればよいのか?
まずはすでに捨てられているプラスチックは、マイクロプラスチックになってしまうとその回収は非常に難しくなるので、プラスチックごみの段階で回収すること。
そして一人一人が身の回りを見回して、生活の中に入り込んでいるプラスチック(包装用、ペットボトル、使い捨て食器、個別包装、etc)や化学繊維も含めて石油由来のプラスチック類を日々の生活から使わないように見直すことが大切だということです。
今回の講演により、マイクロプラスチックの脅威と、待ったなしのプラスチック対策、そしてこれからの私たちの生活の価値観を根本的に変える必要があるということを学びました。