東日本大震災:液状化の救済拡大 住宅損壊、認定見直し
【毎日新聞110502】内閣府は2日、液状化による住宅被害の認定について、罹災(りさい)証明書発行の際の判定方法を示した「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」を見直し、都道府県を通じて全市区町村に通知した。東日本大震災で液状化の被害を受けた茨城、千葉県などで、一部損壊と判定され被災者生活再建支援法の対象外と された多くの住宅が大規模半壊と判定され、支援金を受け取れるようになる見込みだ。
従来の指針では、20分の1(高さ20センチに対し水平方向に1センチ)以上の傾きが「全壊」。60分の1以上20分の1未満の場合は、一律に柱と基礎で計15%損壊していると計算したうえで、屋根や設備など他の損害割合を加えて20%以上40%未満なら半壊、40%以上50%未満は大規模半壊、50%以上は全壊と判定していた。だが、液状化被害では柱と基礎以外に損害が見られないことが多く、大半が半壊にも認定されなかった。
今後は、全壊の扱いは従来通りだが、60分の1以上20分の1未満の傾きを大規模半壊、100分の1以上60分の1未満を半壊と判定する。住宅の基礎などが地面に潜り込んでしまうようなケースについても、潜り込み量が床上1メートル以上は全壊、床までを大規模半壊、基礎の上部から25センチまでを半壊と判定する。
被災者生活再建支援法では、被害程度に応じた「基礎支援金」と住宅の再建方法に応じた「加算支援金」を合計で最高300万円まで支給。受け取れるのは全壊や大規模半壊の場合と、半壊で住宅を解体した場合だ。液状化被害を巡っては、一部損壊とされ支援基準を満たさないケースが相次いでいた。内閣府によると、今回の見直しで、液状化被害による被災者生活再建支援法の対象が、現在の数百軒から数千軒に増える見込みだという。【飯田和樹】
液状化被害の住宅も救済 政権、判定基準緩和の方針
【朝日新聞110428】東日本大震災で液状化現象による住宅被害が広がったことを受けて、菅政権は被災者生活再建支援法の適用世帯を広げるため、住宅被害の判定基準を緩和する方針を固めた。千葉県や茨城県などの被災世帯の多くが救済される見通しだ。
同法では住宅が全半壊した世帯には最高300万円を支給するが、一部損壊世帯は支給対象外となっている。浦安市など約1万2千世帯が液状化被害を受けた千葉県や、茨城県の被災自治体が「多くの世帯が支援を受けられない」として制度の見直しを求めていた。
枝野幸男官房長官は27日の記者会見で「法の適用の範囲を広げ、できるだけ対応できるよう検討している」と述べた。住宅の損壊程度を認定する基準を緩和 し、全半壊を判断する際に「住宅の傾き」や「地盤沈下」などの要素を重視。柱や壁が壊れておらず「一部損壊」と認定されることの多かった液状化被害の住宅 も「半壊」にできるようにする方向だ。
同法に基づき被災世帯に支給されるお金は、都道府県が拠出してつくった基金が財源。給付額の半分を国が補助する。基準緩和は今回の震災に限らず適用する 方針で、今後、液状化現象で大きな被害に遭った世帯は自治体の被災支援金や様々な税金の減免も受けられる見通しだ。(津阪直樹)