沿岸に「二重防潮堤」 仙台市、復興構想骨子固まる
【河北新報110521】仙台市は、東日本大震災の復興計画の素案となる復興ビジョンの骨子を固めた。津波被害を受けた東部沿岸地域 の再生策として、県道塩釜亘理線に盛り土を施して仙台東部道路との「二重防潮堤」とし、住民の集団移転や海岸公園の再整備を盛り込んだ。震災直後の燃料不 足を教訓に、燃料の備蓄を国や事業者と取り組むほか、復旧復興を円滑に進めるため、港湾部の産業支援などで特区制度の適用を目指す。
市は5月末に復興ビジョンを決定した後、意見交換会やパブリックコメント、有識者会議を開いて市民の意見を採り入れ、10月末に復興計画を策定する方針。
ビジョンは市民との絆と協働を重視し、減災を基本に据えた「新次元の防災・環境都市」がコンセプト。計画期間は本年度から2015年度までの5年間で、前期を「復旧・再生期」、後期を「発展・創出期」に設定した。
東部沿岸地域では、県道塩釜亘理線や公園、避難施設を盛り土構造にするほか、貞山運河や海岸防風林の機能を回復させ、複合的に津波に備える。海岸公園にはスポーツ、レクリエーション施設の整備を検討する。盛り土工事には、震災廃棄物の利用も考える。
家屋が流失、全壊するなど甚大な被害に遭った海岸線から近い地区(約2600世帯)についてはより安全な西側への集団移転を基本に据える。浸水被害を受けた市街地や集落でも移転や宅地の盛り土による集約化で防災機能を高める。必要に応じて建築制限もする。
市郊外の丘陵団地で深刻な宅地被害の再建策としては、既存の支援制度の拡充を国に求めるほか、新制度の創設を模索し、所有者の負担軽減を図る。経済政策で は、農と食に関連する産業、自然エネルギー産業の集積を目指す。防災教育や訓練施設の役割を担う防災拠点施設を設置する。