宮城県石巻市 「仮設住宅に自治会発足 東松島・大曲10地区から208世帯 訪問活動に力 孤独死を防止」

仮設住宅に自治会発足 東松島・大曲10地区から208世帯 訪問活動に力 孤独死を防止

三陸河北新報110812】大規模仮設住宅が一つの地域を形成する中で、東松島市大曲地区の仮設住宅で10日夜、自治会となる「矢本運動公園仮設住宅西コミュニティー」が発足した。東日本大震災で石巻地方に設置された仮設住宅では初の組織。自治意識を高め入居者間の絆を強めるだけでなく、高齢者世帯の訪問活動にも力を入れ、懸念される孤独死の未然防止にもつなげたい考えだ。

 仮設住宅では、違う被災地から来た入居者間の連携が課題の一つ。西コミュニティーでも地元の大曲浜をはじめ、鳴瀬の野蒜など計10地区から208世帯、約500人が入居。新たな自治会の創設に向けて7月から準備を進めていた。

 今月下旬までに、隣接する同公園仮設住宅東棟(184世帯)でも自治会を設立する予定だ。

 同公園の西集会所であった設立総会には入居者や市関係者ら50人が出席。会長に遠藤克己・下浜二区行政区長を選出。役員をはじめ、住宅を11班に分けて各班長や運営委員も決めた。

 入院中の遠藤会長に代わり、大江貞徳副会長が「さまざまな地域から入居し不安があるのも事実だが、現実を見据えて課題や問題に話し合いを重ねて、より良い仮設住宅にしたい」とあいさつ。阿部秀保市長も「仮設住宅については12日に全1753世帯が確定する。各家庭で今後の計画もあるだろうが、仮設住宅では隣近所を大切にしながら過ごしてほしい」と期待した。

 会費は徴収せず、活動費は市の助成金などを充てる方針。生活環境整備、防災・防犯、住民の触れ合い?を柱に活動する。

 阪神大震災など過去の災害では仮設住宅で孤独死が相次いだことを踏まえ、独り暮らし世帯や高齢者宅の訪問を強化。各種行事を積極的に企画し、安否確認や交流を促す。

 各家庭から出されるごみの管理や、指定場所への駐車の徹底といった生活マナーの向上も呼び掛けていく。

 仮設住宅の自治組織化について、担当する市の市民協働課の小山修課長は「自主的な組織運営は、被災者の自立に向けた一歩にもなる。市としてもバックアップしていく」としている。