宮城県気仙沼市 「浸水程度で居住制限 気仙沼市復興計画案」

浸水程度で居住制限 気仙沼市復興計画案

河北新報110920】宮城県気仙沼市は19日、震災復興会議の第5回会合で復興計画案を示した。復興目標の第一に「津波死ゼロのまちづくり」を掲げ、悲劇を繰り返さないための防災・減災の基本的考え方を提示。沿岸域を計画高5.0~11.8メートルの防潮堤で囲い、数十年から百数十年に1度の津波に対応するとともに、職住分離を基本とする土地利用計画案を明らかにした。
 土地区画整理事業などを導入し面的整備を行う予定の鹿折・南町・魚町、南気仙沼の両地区などのゾーニング案=図=によると、浸水の深さによって居住を制限する低地ゾーンと、盛り土して住居地にするゾーンなどに分ける。
 鹿折地区は水産加工場などを湾に面した南側の低地ゾーンに集積。北側の盛り土ゾーンとの間に約140メートル幅の緩衝緑地帯を設け、防潮堤との二重防護式にした。大規模な津波の際は西の山側に避難する。
 旧来の商店街だった魚町・南町の低地ゾーンは、住居・商業の混在エリアとしたが、地元では景観上の問題などから内湾沿いに防潮堤を巡らすことへの異論もある。沿岸部を親水広場として居住を制限し、背後地をかさ上げし職住を分ける案も併記した。地元住民と協議し調整する。
 魚市場などを含む南気仙沼地区は、臨港地域の低地を産業エリアとし、加工場などを集積する。低層住宅の立地は制限する。南気仙沼駅を含む幸町周辺は盛り土し、住宅、小売店などの居住ゾーンとする。大川左岸の一部はスポーツ施設用地などのエリアとして緩衝帯・緑地とする。
 委員からは「水に漬かる低地で居住を認める場合は、耐浪性の高い建物にするなどの条件を付けるべきだ」「ゾーニングの決定は避難計画も考え詳細な検討が必要」「各地域が独自に考えているプランを計画決定までに検討してほしい」などの意見が出された。
 復興会議は30日の次回会合で計画を決定する見通しだが、詳細なゾーニングは、市が被災市街地復興推進地域の指定をする11月に最終決定されるという。