宮城県女川町 「高台移住計画に漁業の町から反発の声」

東日本大震災:高台移住計画に漁業の町から反発の声

離半島部の漁港集落を一つにまとめた町の復興計画に反対意見が相次いだ公聴会=宮城県女川町塚浜の小屋取集会場で2011年5月22日、石川忠雄撮影
離半島部の漁港集落を一つにまとめた町の復興計画に反対意見が相次いだ公聴会=宮城県女川町塚浜の小屋取集会場で2011年5月22日、石川忠雄撮影

毎日新聞110522】東日本大震災で壊滅的被害を受けた宮城県女川町で22日、町の復興計画策定に向けた住民公聴会が始まった。町は沿岸部の住宅を高台に集約して住宅団地にする構想を説明。しかし、漁港から離れて暮らすことに住民からは一斉に反発の声が上がり、復興の道のりの困難さをうかがわせた。

 震災で、同町と石巻市にまたがって立地する東北電力女川原発は大惨事には至らなかったが、町沿岸部は津波でことごとく破壊された。町は5月初旬、安住宣孝町長らが中心となり復興計画案を策定。公聴会は22日は町内2カ所で開かれ、計約230人が参加した。

 町は公聴会で(1)安心・安全な港まちづくり(2)港町産業の再生と発展(3)住みよい港まちづくり--を柱にした復興の基本的考えを提示。内陸の高台に住宅地6カ所を造成して、沿岸に暮らす漁師らに移住してもらい、漁港は集約させるという計画を説明した。

 しかし、漁師ら住民側から「先祖代々の土地や家があるから漁へのパワーが出る」「育った土地を捨てるわけにはいかない」などの反対意見があがった。

 避難場所の秋田県から来た同町竹浦の漁業、鈴木誠喜さん(64)は「古里は忘れられない。他の場所に移るとなれば、希望がなくなる。長年暮らした、海が見える場所では駄目か」と町長に迫った。

 公聴会後、安住町長は「効率と安全を考えた案を出したつもりだが、反対する気持ちも分かる」と語った。

 公聴会は27日にも2地区で開催。町復興計画委員会は構想計画の中間答申案を8月上旬までにまとめるという。【石川忠雄、川上晃弘、宇多川はるか】

 

漁村集約住民は難色 女川町公聴会町長、見直しを示唆

復興方針案について住民の意見を聞いた公聴会=22日午前10時ごろ、女川町の塚浜・小屋取集会所
復興方針案について住民の意見を聞いた公聴会=22日午前10時ごろ、女川町の塚浜・小屋取集会所

河北新報110223】宮城県女川町は22日、策定中の復興計画について住民の意見を聞く公聴会を町内2カ所で開いた。約15カ所の漁村を4カ所に集約する素案に対し、反対意見が相次いだ。安住宣孝町長は「できるだけ地域の意見を尊重する」とし、集約化の方向を軌道修正する考えを示した。
 町は復興方針案に基づき、町北部の北浦地区に2カ所、南部の五部浦地区と離島の出島に1カ所ずつ住宅地を造成、複数の集落がまとまって高台に移転する構想案をまとめていた。
 両地区の集会所などで開いた公聴会には住民計約250人が参加した。町は、集約化で避難路などインフラ整備がしやすくなり、福祉サービスも充実させられるとメリットを強調した。
 これに対し、住民からは「慣れ親しんだ土地だからこそ、復興に向けてやる気が出る」「高台の土地は用意できる。地元に造成してほしい」などと集約化に難色を示す意見が大勢を占めた。
 安住町長は「集落の近くで海が見える場所が望ましいというのが皆さんの声のようだ。高台移転の必要性は理解してもらったと思う。場所などについては、今後も集落で大いに議論してほしい」と話した。
 町は27日も公聴会を開き、町中心部の住民らに土地利用案を説明する。

2011年05月23日月曜日