障害者向け仮設住宅 石巻祥心会が着工 単身、世帯用計54室
【三陸河北新報110528】社会福祉法人石巻祥心会(宍戸義光理事長)は、石巻市須江小国地区に障害者やその家族が暮らせるケア付き仮設住宅「小国の郷(さと)」の建設に乗り出した。東日本大震災で生活の場を失った障害者や家族に住まいと各種サービスを提供する。今後の生活基盤の安定などに役立ててもらうのが狙い。現在、入居者を募集している。
敷地は約6600平方メートル。祥心会が所有していた土地を活用するほか、震災で亡くなった故山内瀧子理事が隣に所有していた土地を遺族が提供した。
仮設住宅は単身用の14個室(約4畳半)と、バス、トイレ、キッチンが付いた世帯用の40室(約9畳)の2種類。単身用には共同で使用できる食堂やバス、トイレなども完備する。
5人のスタッフも常駐し、各種生活相談や緊急時の対応、家事援助などに当たる。通院や買い物などの送迎サービスも検討中という。
事業費の約1億7000万円は日本財団ROADプロジェクトによる支援を活用。今月11日から着工しており、完成は6月20日。翌21日から入居ができる。入居期間は最長2年間。家賃は無料。ただし電気、上下水道、プロパンガスなどの使用料は入居者負担となる。
入居対象は被災時に石巻市、東松島市、女川町に住居があり、障害者のいる世帯が条件。
宍戸理事長は「家屋が被災しただけでなく、介護者となる両親が亡くなるケースもあり、障害者を取り巻く環境は厳しさを増している」と説明。障害者を抱える家族は、避難所生活でも一般の被災者に迷惑をかけまいとして精神的疲労やストレスが大きいという。
こうした背景から、障害者や家族が安心して暮らせるケア付き仮設住宅を建設することにした。
祥心会は「石巻地方の障害者福祉の復興とまちの再生を目指したい。生活の拠点を見つけることで家族は就労への確保につながる。障害者にとっても各種サービスを受けることで、グループホームでの生活を目指すための場にもなる」と話している。