被災宅地の買い取り価格、公示価格の8割超 新地町、集団移転で説明」
【毎日新聞120121】震災による津波被害で住民の集団移転を計画している新地町は、被災した宅地の買い取り価格を公示地価の8割超とすることを決め、20日開いた説明会で住民に伝えた。週明けから世帯ごとに相談会を開き、個別に算出した価格を示す。
買い取り価格は、阪神大震災の事例などからはじき出し、復興による地価上昇も加味した。宅地は公示価格の80~84%、1平方メートル当たり約6500円~1万4000円になるという。農地は常磐自動車建設工事の買収価格の8割超とした。
対象は、建築基準法に基づき昨年末に災害危険区域として指定した沿岸部の約380世帯。財源は国の防災集団移転促進事業の補助金などを充てる。
計画では、大戸浜地区など高台4カ所を造成し、住宅団地を整備。今年中に用地買収と造成を始め、15年までに全世帯の住宅再建を目指す。住民は新たな住宅を取得するための借入金利子の支援などを受ける。
町によると、岩手、宮城、福島の被災3県の自治体で、買い取り価格を示したのは初めて。担当者は「具体的な数字を示すことで、復興に向けた動きを着実にしたい」という。
説明会は、3カ所で開催。町役場では住民80人余が出席し、自宅周辺の価格に質問が集中した。