茨城県北茨城市 「避難者向け集合住宅を 北茨城復興で提言 市計画策定委分科会」

避難者向け集合住宅を 北茨城復興で提言 市計画策定委分科会

茨城新聞120111】東日本大震災から11日で10カ月を迎えるのを前に、津波による被害を受けた北茨城市の震災復興計画策定委員会(鈴木徳穂委員長)の分科会は10日、避難者向け集合住宅の建設などを盛り込んだ提言をまとめ、同委員会に報告した。同委員会は13日に提言を踏まえた震災復興計画案を作成し、市民の意見を求めるパブリックコメント(意見公募)などを経て、来月10日に最終的な復興計画を豊田稔市長に答申する予定。

分科会は市議会や市民代表、市内各種団体の代表者ら19人で構成し、津波で家屋が全半壊した磯原、大津、平潟各地区のまちづくりを検討。「市民生活の再建」「地域経済の再生」「市民の安心・安全」の三つのテーマごとに、昨年10月から議論を重ねてきた。

分科会報告には、委員17人が出席。津波で住宅が損壊した避難者向けに集合住宅を建設するよう提言。付近には集会所を設置するなどコミュニティー維持への配慮も求めた。

津波を受けた地区には高齢者が多く住むことから、介護施設の新設や、一人暮らしの高齢者に支給される緊急通報システムを活用した対応を提案。高台への移住を希望する住民には、既存団地などの空き地を活用した移住策を検討するよう求めた。

雇用の創出や観光産業の振興策では、宿泊・観光施設が集まる磯原・平潟各地区に、温泉施設や道の駅を造る地域活性化策を打ち出した。さらに、「人命第一」を掲げた防災対策として、防災無線や避難経路の整備、津波を想定した避難訓練の定期的な実施など、ハード・ソフト両面での改善を訴えた。

同委員会は分科会報告を受け、13日の本委員会で復興計画案を策定。今月下旬にパブリックコメントや総合アドバイザーである筑波大教授との意見交換を行い、来月10日に最終的な復興計画を豊田市長に答申する予定。

鈴木委員長は「震災前よりも活力があって子どもやお年寄りが安心して住めるまちづくりを目指す」と話している。