自治会続々、交流着々 仙台・プレハブ仮設住宅団地
【河北新報110812】仙台市内18カ所のプレハブ仮設住宅団地で、八つの自治組織が相次いで発足した。今のところ被災前の地域のつながりが存続する仮設団地が中心だが、自治組織が誕生した団地では外部の支援も入りやすくなり、住民活動が活発になっている。
◎震災前の縁生かす/外部支援の窓口機能も
宮城野区の岡田西町公園の仮設団地(82戸)には7月末、「岡田西町仮設住宅自治会」が誕生した。住宅棟ごとに1カ月交代の班長を置き、支援物資の配布やイベント予定を知らせる文書の配布などを担っている。
仮設住宅の自治組織も普通の町内会と同様に、住民の親睦を図るのが主な目的。芳賀正副会長(61)は「多くの住民が役割を持つことで、顔が見える関係を築いていきたい」と説明する。
6日には団地内で七夕会を開催した。もともとは主婦たちが竹飾りを出したり、ゲームをしたりして楽しもうと企画した催しだったが、直前にできた自治会がボランティアなどとの調整や竹の搬入、会場設営などを担ったことで、プログラムも充実し、一大イベントになった。
若林区内最大の177戸が入居する若林区の「荒井小建設用地」の仮設住宅は規模が大きい上に、市内で最も早く7月に自治会が結成されたこともあって、阿波おどりやお笑いのイベントなどが頻繁に開かれている。自治会が活動を希望するNPOやボランティアの窓口になっている効果が大きいという。
これまでのところ、自治組織の設立が進んでいるのは、被災前に同じ地域に住んでいた住民が、まとまって入居している仮設団地が中心だ。
入居戸数が少なすぎたり、多くの地域から見ず知らずの住民が集まったりした仮設住宅では設立が遅れがち。自治組織がまだない仮設住宅の住民からは「自治会がある団地の方が外部からの支援が多く、被災住民の生活環境にも差が出てきているように感じる」との声も聞かれる。
◎町内会役員、光る存在感/「培った経験、役に立てば」
仮設住宅で自治組織を発足させる上で鍵になるのが人材だ。仙台市内で発足した仮設住宅の自治組織では、被災前にも町内会役員を務めていた経験者が会長に就くケースが多い。経験者ならではの運営ノウハウや行政とのパイプが頼りにされているようだ。
JR東日本が仮設住宅に開放した同社南小泉社宅(若林区)で7日、「JR南小泉アパート自治会」が発足した。若林区荒浜地区の住民が中心だが、他地域からの入居者もいるため、新たに自治会を作ることにした。
会長に就任したのは、荒浜東町内会の大久保勝彦会長(70)。荒浜復興まちづくり実行委員、交通安全協会荒浜支部長も務めている。
8月第2週は、アパート自治会総会(7日)、七郷市民まつり打ち合わせと懇親会(9日)、荒浜復興まちづくり実行委の住民アンケート集計(13日)と会合がめじろ押し。28日投票の市議選では荒浜地区の投票所で立会人も務める。
「今日は何の会合なのか混乱することもしばしば」と大久保さん。今後はアパート自治会会長としての仕事も加わる。
このほか、若林日辺グラウンド仮設住宅(若林区)の自治会では二木町内会(同)の阿部東悦会長(64)が、福田町南1丁目公園仮設住宅(宮城野区)の自治会でも新浜町内会(同)の平山一男副会長(63)が、それぞれ会長に選ばれた。2人は「これまでのつながりがあるから、役所に行っても話が早い。役に立つのであれば仮設住宅でも経験を生かしたい」と話している。