宮城大、南三陸に復興ステーション設置へ 支援拠点に
【河北新報111224】宮城大は、東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町に、支援活動の拠点となる「復興ステーション」を設置する。大学の知的資源を生かし地域産業の再生や地域づくりを支え、住民への移動講座を開くなどして、復興に向けた人材育成にも取り組む。
復興ステーションは本年度内に、同町入谷の廃校を利用した施設「校舎の宿さんさん館」に置く。町出身者から採用予定の職員3人が常駐し、大学の活動拠点とする。
宮城大は昨年、同町と地域連携協定を締結した。町の震災復興計画の実現に向け、地域で継続的に支援するには、住民が学び合う場や専門家、ボランティアらと連携する拠点が必要だと判断した。
事業は本年度から5年間。「町復興まちづくり支援事業」「サテライト・キャンパス事業」「学生ボランティアによる地域復興支援」の三つを柱に掲げる。
まちづくり支援事業では、間伐材を活用する仕組みづくりや、外部からの支援者に対する農家民宿などの機能拡充を支援する。震災の語り部を育成し、「復興ビエンナーレ」など芸術イベントも企画する。
サテライト・キャンパス事業では、住民を対象にした講座やミーティングを開く。学生ボランティアは清掃、防災、見回り支援など、現地のニーズに応じて派遣する。
全国の専門家らと被災地とをつなぐ連携拠点をJR仙台駅周辺に置き、資料映像の上映会やセミナーなどを開催する。
宮城大の西垣克学長は「大学の持ち味を生かし、現地でビジネスを始める後押しをする。住民と同じ目線で意見を聞きながら、着実に事業を進めたい」と話している。