避難指示地域の除染、14年3月までに完了 工程表発表
【河北新報120127】環境省は26日、東京電力福島第1原発事故に伴う除染の本格化に向け、福島県内の原発周辺の避難指示地域で国が進める除染作業の工程表を発表した。年間被ばく放射線量が50ミリシーベルト以下の地域で、住民の同意や仮置き場の確保など条件が整った地域から順次、除染を開始。2014年3月末までに住宅や企業、公共施設、道路、農地などの除染を終えるとした。
細野豪志環境相は記者団に「住民に一日も早く戻っていただくのが大きな目標。困難は非常に多いが、必ず乗り越えられる」と強調。環境省は関係市町村長の意見を聴いた上で3月末をめどに除染計画をまとめ、作業に着手する。ただ、個人の住宅や土地について所有者から立ち入りの同意を得るのが前提で、所在不明者も多く、着手は遅れる可能性もある。
一方、年50ミリシーベルト超の地域については、除染のモデル事業を通じて効果的な方法や作業員の安全確保策を確立するとしたが、本格除染のスケジュールは示していない。
政府は現在、「警戒区域」と「計画的避難区域」を国が直接除染する除染特別地域に指定しているが、3月末をめどに再編。年20ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備区域」、20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下の「居住制限区域」、50ミリシーベルト超の「帰還困難区域」に3区分する方針。工程表は再編後の区分に合わせた。
解除準備区域では、まず線量が年10ミリシーベルト以上と比較的高い地域や、5ミリシーベルト(毎時1マイクロシーベルト)以上の地域にある学校などから作業を開始し、年内に完了。5~10ミリシーベルトの地域は13年3月末まで、1~5ミリシーベルトの地域も14年3月末までに除染を終えるとした。目標として、一般住民の被ばく線量を13年8月末までに半減し、長期的には1ミリシーベルト以下にすることを掲げた。施設別では、市街地や学校、公園、消防、医療施設、役場などを優先する。
居住制限区域は、14年3月末までに帰還可能な20ミリシーベルト以下にする。
除染平成25年度内完了 避難指示解除準備、居住制限区域 環境省が原発周辺の工程表発表
【福島民報120127】環境省は26日、東京電力福島第一原発事故に伴い国が避難区域内の11市町村で進める除染作業の工程表を発表した。年間被ばく線量が50ミリシーベルト以下の「避難指示解除準備」「居住制限」の両区域で優先して作業を始め、平成25年度末までに全域で作業を完了させる。汚染廃棄物の仮置き場確保など条件が整った地域は3月にモニタリング調査を始め、7月の開始を目指す。一方、50ミリシーベルト超の「帰還困難区域」は、当面モデル事業で低減の手法を探る。
■帰還困難区域は モデル事業継続
住民が帰還できる地域をより早急に確保するため、避難指示解除準備区域(年間放射線量20ミリシーベルト以下)のうち、10ミリシーベルト以上の地域や五ミリシーベルト以上の場所にある学校などを優先して今年中に作業を終える。学校は再開前に毎時1マイクロシーベルト未満まで下げる。5~10ミリシーベルト未満の地域は24年度末、1~5ミリシーベルト未満は25年度末までに線量を半減させるとしている。
居住制限区域(同20ミリシーベルト超50ミリシーベルト以下)は24年度中に除染を始める。25年度末までに20ミリシーベルト以下に放射線量を低減させ、避難指示解除準備区域への移行を目指す。
帰還困難区域(同50ミリシーベルト超)は当面モデル事業を続けるが、除染の効果は限定されることが予想され、国は土地の買い上げを検討する。
環境省は3月にも、建物などのモニタリングや震災と津波による施設の被災状況について調査に乗り出す。役場庁舎や高速道路など公共的な施設で先行的に除染を進めるのと併せ、7月からは地域内全体で高圧洗浄や表土除去などの本格的な作業を始める。
同省は市町村と協議し、3月末までに自治体ごとに作業を優先する地域などを定めた「特別地域内除染実施計画」を策定する。
細野豪志環境相兼原発事故担当相は「住民に1日も早く戻っていただくのが大きな目標。困難は非常に多いが必ず乗り越えられる」と強調した。