宮城県仙台市 「仙台市復興座談会スタート 集団移転、市民に不安も」

仙台市復興座談会スタート 集団移転、市民に不安も

仙台市の復興ビジョン素案にさまざまな意見が出た座談会=21日午前、宮城野区役所
仙台市の復興ビジョン素案にさまざまな意見が出た座談会=21日午前、宮城野区役所

河北新報110521】仙台市は21日、東日本大震災の復興計画と素案となる復興ビジョンに市民の意見を反映させるため、奥山恵美 子市長が直接対話する「復興座談会」を始めた。皮切りとなった宮城野区役所では、市が復興ビジョンの骨子に盛り込んだ沿岸部住民の集団移転構想などが取り 上げられた。市民からは「集団移転は経済的負担が心配だ」など不安視する意見が出た。
 津波や地震で甚大な被害が出た地区の町内会長、避難所運営委員、PTA役員ら18人が出席した。奥山市長は「全ての市民が手を携え、復興に向かって進む魂のこもった計画を策定したい」と述べた。
  復興ビジョンの素案のうち、東部沿岸地域で仙台東部道路と幹線道路による「二重防潮堤」とし、住民を西側に集団移転させる案について議論が集中。ある町内 会長は「住宅のローンが残っており、移転できない人がいる。経済的負担が生じないよう土地の無償提供が必要だ」と求めた。
 農家が多い地区の町内会長は「50~60代は先祖から受け継いだ土地を離れたがらない。農業ができるよう元の土地を再生してほしい」と語った。
 出席者からは「復興計画策定などのスピード感が欠けている」「被害にあった学校の存廃をはっきりさせてほしい」といった注文もあった。
 座談会は29日まで、若林区の2カ所と、青葉、太白、泉区の各1カ所で開催する。

2011年05月22日日曜日