【朝日新聞110802】県が提供する仮設住宅1戸あたりの平均建設価格が372万8千円に上ることが分かった。法定基準額の1・5倍超で、付帯工事分を合わせると500万円前後になる見込みだ。建設費が徐々に割高になっている傾向も明らかになった。
朝日新聞記者が県に情報公開請求し、震災後から6月22日までに締結された1万7510戸分の契約書が1日、開示された。
県は仮設住宅建設を社団法人プレハブ建築協会(東京)に要請。リース会社などで構成する協会の「規格建築部会」の11社や、ハウスメーカーなどでつくる「住宅部会」の24社と計約653億円の契約を結んだ。県内に本店・本社を置く会社は4社だった。
仮設住宅は基本的に1DKと2DK、3Kの間取りがあり、1戸あたり平均価格は災害救助法で定める基準額238万7千円(29・7平方メートル)の1・56倍だった。契約額には水道関連工事などは含まれず、県関係者は「計500万円前後になるのは確実」と明かす。
規格部会では、震災後すぐ着工が決まった仮設住宅は1戸あたり288万円だったが、徐々に高騰し、6月中旬に結ばれた10次着工分では345万円だった。住宅部会では485万~491万円で推移している。
協会は「リース会社は手持ちのプレハブを再利用して単価が安いが、ハウスメーカーは一般住宅で使う建材を使い、単価が高くなる」という。東京のハウスメーカー担当者も「震災バブルで資材が高騰し、職人も日当を上げないと集まらない。契約額が上がるのはやむを得ない」と言う。
一方、1戸平均340万円以上で契約していた東京のリース会社関係者は「必要以上に値上げしたつもりはないが、それなりに利益はいただいた」と話す。
県保健福祉総務課は「実際は国の基準内に収まらない可能性が高いが、被災者への迅速な住まい提供のためにはやむを得ない」としている。(中村信義)