商工団地の仮設 不人気 4カ所中2カ所入居ゼロ
【河北新報110728】仙台市が被災者向けに建設したプレハブ仮設住宅の人気が、場所によって偏っている。18カ所中14カ所がほぼ満杯になったが、若林区卸町など商工業団地内の公園に整備した4カ所は入居決定が3割に満たない。入居ゼロも2カ所ある。買い物などが不便な立地条件が影響したようだ。
80戸が建つ宮城野区の扇町4丁目公園の仮設住宅。入居はゼロで人影はない。周囲には配送センターが多く、エンジンをかけたまま停車するトラックが目立つ。
ここは卸町5丁目公園(若林区)の仮設住宅とともに、2次募集まで希望者がなかった。市によると、19日に締め切った3次募集で10件余りの申し込みがあったといい、調整が進んでいる。
扇町1丁目公園(宮城野区)、卸町東2丁目公園(若林区)も応募者が少ない。入居決定はそれぞれ38戸と9戸で、3次募集での申し込みも10件前後という。
4カ所に共通するのは土地を確保しやすい場所だが、買い物が不便で被災地から遠いことだ。扇町4丁目公園の場合、最寄りスーパーまで1キロほどで海岸部から遠い。被災地の自宅と行き来したい人も多く、宮城野区内の別の仮設住宅に入居した男性(72)は「最初から選択肢になかった」と話す。
市内部には「入居者が少ないと、情報が入りづらかったり、外部団体から支援が受けづらかったりする不便が生じる。できれば一定の規模の場所に集約した方がいい」(宮城野区役所)との意見もある。ただ集約すれば、そっくり必要なくなる場所も出てくる。
市内18カ所に建設したプレハブ仮設住宅は計1505戸。26日現在の入居決定は1056戸で、市は最終的に8割は埋まると見込む。
市仮設住宅調整室は「希望が2、3世帯だけなら別の仮設への集約も考えるが、入居ゼロの場所でも10件前後の申請があり、申込者の意向に沿いたい。余った場合の活用策は現段階ではまだ考えていない」としている。