宮城県 「仮設住宅空き室を職員宿舎に」

仮設住宅空き室を職員宿舎に

読売新聞120128】国が仮設住宅の空室を被災者住宅以外の目的で使用することを認めたことを受け、村井知事は27日、視察先の岩手県一関市の仮設住宅団地で、空きの仮設住宅を応援職員や支援団体の宿舎として活用していく方針を明らかにした。県は気仙沼、石巻両市に応援職員用宿舎を計152戸建設する予定だったが、これも見直す。

 

 県震災援護室によると、県内の仮設住宅計2万2095戸のうち、空室となっているのは872戸(20日現在)。最も多いのが石巻市の373戸で、次いで気仙沼市が151戸、南三陸町が116戸。

 

 気仙沼市の被災者が住む岩手県一関市の仮設住宅「旧千厩(せんまや)中学校団地」(228戸)では、91戸が空いた状態となっている。気仙沼市中心部まで車で30~40分かかり、被災者から「遠すぎる」として敬遠されてきた。

 

 同団地を視察した村井知事は「応急的に空きの仮設住宅を最大限活用したい」と述べ、県に派遣されてきた応援職員の宿泊場所として使えないか同市に相談する考えを示した。

 

 復旧・復興の本格化に伴い、県や被災自治体は応援職員の派遣を国に要望しており、新年度には県だけで111人、気仙沼市も39人、石巻市は19人の増員を見込む。しかし、応援職員が派遣期間中に寝泊まりするためのホテルや民間賃貸住宅などは、工事関係者らで常に満杯の状態で、宿泊先をどう確保するかが課題となっていた。

 

 県は9月までに、1Kタイプの仮設宿舎計152戸を気仙沼に96戸、石巻に56戸建設する計画だったが、仮設住宅の目的外使用を認める国の通知を受け、計画を見直すことにした。県の担当者は「宿舎の建設戸数が減ればそれだけ税金をかけずに済む」と話し、来週にも両市と仮設住宅の空室貸与について協議する。

 

 気仙沼市も県と同様、旧千厩中仮設団地の空室を応援職員の宿舎として活用する考えだ。菅原茂市長は「市中心部まで30~40分なら通勤圏内。応援職員にも納得してもらえる」とする。

 

 一方、石巻市は今後も応援職員の宿舎には、民間賃貸住宅を使う方針だ。市によると、県外や知人宅などに身を寄せ、仮設住宅への入居を望んでいる被災者が今も90人程度いるという。担当者は「入居希望者がいるうえ、空室を交流スペースとして活用することも検討しており、職員宿舎にする訳にはいかない」と話す。