飯舘の共同体もう一度 福島の仮設に農産直売所オープン
【毎日新聞120203】計画的避難区域の飯舘村の住民が避難している福島市松川町の松川第1仮設住宅に、新しい農産物直売所がオープンした。「もう一度コミュニティーを取り戻そう」と村民が育てた野菜や、手作りの漬物など加工品を販売、かつての店の常連客が再び訪れている。
村に七つある直売所で作る村直売所連絡協議会が運営。同村関根で営業していた「もりの駅まごころ」で駅長を務めていた熊谷清さんが店長を、仮設住宅の避難住民もスタッフを務めている。
直売所の広さは約60平方メートル。避難先の同市などで農地を借り、耕作を再開した村民が持ち込んだハクサイやホウレンソウなどを販売し、市場で仕入れた肉や野菜、日用品も扱っている。近くに店がなく不便との避難住民の声に応えた。
震災前、村の直売所には野菜のほかに、女性たちの作る加工品や、卵、キノコ、山菜などが並び、村外からも多くの客が訪れるほどの人気だった。現在この直売所に商品を持ち込んでいるのは4人だが、今後はさらに持ち込みを増やし、加工場などの設置も検討する。
熊谷店長は「直売所は村民一人ひとりの発表の場にしたい。食べてくれる人がいればもう一度笑顔になれる。村民の集う場所にしたい」と話す。
オープンを聞きつけて買い物に訪れた近所の斎藤優子さん(57)はホウレンソウを買い求めた。震災前には村の直売所にたびたび訪れていたといい、「また飯舘の人の野菜が食べられてうれしい。農家の技術は確かだから、きっとおいしいと思います」と話した。営業時間は午前10時~午後6時。月曜定休。