水産業特区:漁師反発 撤回求め知事に要望書 宮城
【毎日新聞110513】東日本大震災で壊滅的な打撃を受けた宮城県の水産業の復興に向け、村井嘉浩知事が、養殖漁業に民間企業の参入を促す「水産業復興特区」の構想を打 ち出したところ、漁師たちの反発が広がった。宮城県漁業協同組合は13日、「漁師のサラリーマン化は許せない」と、特区構想撤回を求める要望書を村井知事 に提出した。
現行の漁業法は、一定区域内で養殖漁業などを行うための漁業権を、漁協が優先的に獲得できる仕組みにしている。特区では、民間企業も漁業権を獲得 しやすいよう規制を緩和。生産から加工・販売まで手がける民間企業の参入を促し、漁師らが企業の社員になることで収入を安定化させ、後継者不足の解消も期 待している。村井知事は10日、政府の復興構想会議で提案した。
一方、漁師たちは「命がけで海と向き合うのが漁師の生き様。サラリーマン化したら漁師は務まらない」と主張。県漁協は「企業に隷属するつもりはない」との見解を発表した。村井知事が事前の協議なく提案したことにも不信感を募らせ要望書提出となった。
要望を受けた村井知事は「主役は漁業者の皆さん。一つの選択肢として民間企業で働く形態で漁業を続けたいという人にも海を開放してもいいのではないか」と県漁協幹部に理解を求め、構想は撤回しない方針を示した。【宇多川はるか】