仮設暮らしサポート 仙台市「見守り事業」開始へ
【河北新報110518】仙台市は6月、東日本大震災で被災し、仮設住宅で暮らす人を支援する「安心見守り協働事業」をスタートさせる。NPOで構成する市内の一般社団法人「パーソナルサポートセンター」に業務を委託。被災者を「絆支援員」として雇用し、入居者間のコミュニティー構築を手助けしてもらう。行政とNPOが初期段階から連携の枠組みをつくり、仮設住宅の入居者に関わる新しい試みだ。
市は、国の緊急雇用対策を活用して10人の絆支援員を採用。社会福祉や被災者支援制度などについての研修を受けて太白区のあすと長町地区のプレハブ仮設住宅(233戸)を訪問し、要望を聞いたり、入居者同士の輪を広げたりする。
段階的に人数を増やし、民間借り上げや公務員住宅といった仮設住宅にも活動範囲を広げる。市は本年度、人件費などに約1億6000万円を充てる。
センターは、路上生活者の自立支援を行う「仙台夜まわりグループ」「ワンファミリー仙台」、子どもの電話相談を行う「チャイルドラインみやぎ」など10団体で3月に結成した。
それぞれが培ったノウハウを生かし、生活困窮者を福祉や医療などの社会的資源につなげ、地域での自立を目指す。震災後、今回の見守り事業を市に提案していた。
絆支援員の活動開始に先立ち、センターはあすと長町地区で13~15日、地元市民団体の協力を得て「ふれあいサロン」を開設。仮設住宅の入居者にコーヒーやお茶を振る舞ったり、会話の合間に困り事を尋ねたりした。
阪神大震災や新潟県中越地震で設置された仮設住宅では、行政が当初の相談支援を担った。
センターの立岡学理事は「被災者に寄り添う『伴走型』の活動を模索したい」と説明。市市民協働推進課の武山広美課長は「仙台はNPOが多く活動し、実績もある。連携して被災者の生活再建を支援したい」と話した。