山形県、がれき受け入れへ 線量に独自基準設定
【河北新報110803】東日本大震災で被災した岩手、宮城両県のがれきを受け入れる方針を決めた山形県が、持ち込まれるがれきの放射線量に独自の基準値を設けることが2日分かった。両県のがれきが放射性物質で汚染されているかどうかは不明だが、汚染を心配する住民心理ががれき移動の障害の一因になっているとされており、不安を解消する狙いがある。国の指針が定まらない中、がれきの放射線量の基準値を自治体が設定するのは、全国で初めて。
山形県は木くずを岩手、宮城から、不燃物や家電を宮城から受け入れる方針。リサイクル、埋め立てなどがれきの種類に応じた処理方法を踏まえ、具体的な基準値を設定する。11日に説明会を開き、市町村や処理業者に数値を示す見通し。
国は福島県のがれきに関し、放射性物質による汚染の可能性があるとして、県外への持ち出しを禁じている。一方、他県のがれきの持ち出しは制限していない。山形県内では村山市が既にがれきを受け入れており、一部の住民が放射性物質の影響を不安視している。
福島県のがれきは同県内で処理され、放射性セシウムが1キログラム当たり8000ベクレル以下の焼却灰や不燃物は、埋め立て可能とされている。山形県はこうした国の方針を参考に、基準値を定めるとみられる。県は「前例がないだけに、住民に納得してもらうには、厳しめの基準にせざるを得ないだろう」と話す。
酒田港リサイクル産業センター(酒田市)は、気仙沼市から酒田港に木くずを受け入れ、秋田県などでリサイクルする計画を策定中。担当者は「県の方針が決まれば、われわれ業者も動きだせる」と注目する。
7月初めから、気仙沼市の木くずを1日約30トン受け入れている村山市の「やまがたグリーンパワー」によると、木くずの放射線量は1時間当たり0.07~0.15マイクロシーベルトという。同社の鈴木誠社長は「山形で集めた木材とほとんど変わらない。県が定める基準内に収まると思う」と予想する。
環境省は「がれきは処理方法が自治体ごとに異なるので全国一律の基準が設けられないが、自治体が独自に基準値を定め、それを国が評価するなら可能」と話している。