JR仙石線東名-野蒜駅周辺 内陸に移設復旧へ
【石巻日日新聞111001】JR仙石線・石巻線復興調整会議が9月30日、仙台第3合同庁舎で開かれ、津波により大きな被害を受けた東松島市の仙石線東名―野蒜駅間について、沿線自治体とJRの担当者が内陸部の丘陵地に線路や駅を移設する復旧方針に合意した。石巻線の不通区間である石巻―浦宿駅間(14・5キロ)は現ルートでの復旧となり、その先の終点女川駅は移設する。ただし、再開の時期や費用は今後の話し合いに持ち越された。
仙石線のルート変更は、再開の見通しが立っていない高城町駅(松島町)―陸前小野駅(東松島市)の15・9キロのうち、東名―野蒜駅(1・6キロ)とその前後。現況から500メートルほど内陸の丘陵地に線路を引き、東名、野蒜駅を移す。
同区間は2メートル以上の津波をかぶり、駅舎やレールに著しい被害を受けた。JRは安全確保ができないとの理由で、現ルートでの復旧を考えていない。
人口流出やまちづくりへの影響を懸念する東松島市は、JRに早期の再開を要望。JR側は国による費用負担を求め、話し合いに折り合いがつかないまま。調整会議では事務局の東北運輸局鉄道局が、両者を仲介する形でルートの変更案を提示し、了承を得た。
東松島市は野蒜地区で市街地の集団移転を構想しており、現在の市街地の背後にある丘陵地に新市街地を造成する考え。仙石線の変更ルート案は新たなまちづくりの構想に合わせたものになっている。ただし、現ルートでの早期復旧を望む住民もおり、東松島市は調整会議で、JRによる住民への説明や代替交通機関の充実を要望している。
調整会議では今後、東松島市が12月にまとめる復興計画に間に合うよう具体的なルートを決め、運行再開までのスケジュールを策定する。用地の買収から造成、鉄道設備整備まで、運行の再開には少なくとも3年はかかる見通し。東名―野蒜駅間以外の不通区間は現行ルートのまま復旧させ、駅も生かす。
一方の石巻線の不通区間は、地盤沈下による冠水被害が出ている万石浦沿いの護岸整備や排水対策を講じた上、浦宿駅まで早期に復旧させる方針。流失した女川駅は、安全な場所への移設を検討していく。