借り上げ仮設住宅2万3359件 プレハブ着工戸数上回る
【河北新報110908】東日本大震災の被災者向けに民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅とみなす制度で、宮城県内の入居決定件数が2万3359件(2日現在)に上り、プレハブ仮設の着工戸数(2万2042戸)を上回ったことが7日、分かった。
県震災援護室は「立地条件を優先し、都市部のアパートを選ぶ例が増えている」とみている。プレハブ仮設は、用地確保の問題から市街地から遠い地域に建設されることもあり、敬遠する被災者も少なくないという。
借り上げ仮設の入居は仙台市(7886件)と石巻市(6170件)が突出して多く、両市で全体の6割を占める。次いで気仙沼市1457件、東松島市1250件、多賀城市1195件、名取市1039件など、市部に集中している。
県が4月上旬、一定の条件を満たせば、既存の民間賃貸住宅を仮設住宅扱いとする方針を示したのを機に、入居希望者が急増。入居決定は6月中旬で9359件だったが、7月中旬には2万257件に倍増した。
借り上げ仮設の需要拡大に伴い、プレハブ仮設住宅に余剰が出る事態が生じている。
既に完成したプレハブ仮設住宅は2万764戸。実際の入居は1万7137戸にとどまり、2割近い3627戸が空き室になっている。
借り上げ仮設をめぐっては、件数の急増に県の事務が追い付かず、契約手続きが停滞。入居決定件数のうち、契約に至ったのは7333件(31.4%)、家賃の支払いを終えたのは1605件(6.9%)にとどまっている。