【河北新報111023】東北大地震・噴火予知研究観測センターの研究者らによる東日本大震災の研究報告会が22日、仙台市青葉区の仙台国際センターで開かれた。観測センターの日野亮太准教授は、震災の本震がマグニチュード(M)5程度で始まり、想定された宮城県沖地震を引き起こした上、超巨大地震に拡大した可能性を指摘した。
断層が滑った規模から、宮城県沖地震の震源域では過去600~800年分のプレート(岩板)境界のひずみが解消されたとの見方を示した。
今後の宮城県沖地震については、今回の震源域周辺がゆっくり滑る「余効滑り」が続いているため、早期に余震として発生する恐れがあると指摘。「余効滑りが終わっても、従来のように30~40年の周期で起きるかは別問題だ」と述べた。
産業技術総合研究所活断層・地震研究センター(茨城県つくば市)の岡村行信センター長は、津波堆積物の調査結果から、今回の震災と同規模の大津波が仙台平野に襲来する間隔を約450~約850年と分析した。
慶長三陸津波(1611年)と北海道東部を1600年代初期に襲った津波の原因が同じ地震であるとする説に触れ、「もし道東の地震が原因なら既に400年たっており、長い間安心とは言えない」と話した。
東北大地震・噴火予知研究観測センターの海野徳仁センター長は「震災を予測できなかったことを深く反省し、地震学の未熟さを痛感している。不幸なことが2度と起きないようにしなければならない」と今後の研究への決意を強調した。