被災者支援へ福祉団体連携 県内、16日システム始動
【岩手日報110515】県社会福祉協議会と県、保健福祉関係10団体は、東日本大震災の被災者に対し継続的支援を行うための「県内職能団体による災害支援派遣システム」を16日に始める。被災者ニーズを共有し、介護福祉士ら専門家がそれぞれの立場で分析し課題を抽出。ボランティアとも連携して支援策を割り振り、最も効果的サービスを無償で提供する。被災地では福祉サービスの再構築が課題で、地元事業者が本格的に活動再開するまでの橋渡し役も担う。
同システムは、県介護福祉士会、県地域包括・在宅介護支援センター協議会、県精神保健福祉士協会、県認知症高齢者グループホーム協会、岩手リハビリテーションセンターなど10団体で運営し、県社協が取りまとめる。県社協災害ボランティアセンターの加盟組織として位置付け、支援を無償 提供する。
16日から陸前高田市などの避難所や仮設住宅で実態調査に着手する。被災者の具体的要望に加え、現場状況から隠れた需要も把握する。 調査結果は合同で分析し、専門的視点で課題を洗い出した上で支援メニューを決める。支援策は各組織に割り振り、ボランティアの協力も求める。
各団体は震災発生直後から現地支援に当たってきたが、避難生活の長期化に伴いニーズが多様化。個別団体ごとの活動では難しい対応が出てきたほか、調査の重複などロスもあった。窓口を一本化して情報共有し、サービスの最適化を図ろうと連携することにした。
また、被災地では多くの福祉事業所や職員が被災し、地域福祉の再生には時間がかかるとされる。沿岸部は高齢者率が高く、長引く避難生 活で細やかなケアを切れ目なく行う必要があり、早急な体制構築が必要とされていた。こうした点から同システムは、地域福祉が本格復旧するまでの橋渡し役も 担う。
県社協の畠山泰彦福祉人材研修部長と川崎舞美専門員は「1カ所で実態把握から解決までを担う仕組み。復旧した地域事業者にバトンを渡すまで、継続的に支える」と話す。
(2011.5.15)