福島第1原発:伊達、地域ぐるみで除染
【毎日新聞110714】放射線量が局所的に高い「ホットスポット」を抱え、4地区113世帯が「特定避難勧奨地点」に指定された福島県伊達市で、地域ぐるみで市内全域を除染しようというプロジェクトが進んでいる。世帯単位で避難を指定する勧奨地点制度で「地域が分断される」と危機感を強める市民らが、自らの地域は自分たちの手で再生しようと立ち上がった。まずは子供たちが通う小学校の除染に挑戦している。
約265平方キロの同市内にはホットスポット以外にも放射線量の高い地域が多く、同市は市内全域の除染を独自に行う方針を打ち出しており、6月27日に除染対策プロジェクトチーム(PT)を設置。アドバイザーに原子力委員会の田中俊一・前委員長代理を迎え、独立行政法人「日本原子力研究開発機構」(茨城県東海村)の技術支援を受ける。
まず、今月初めから、市立富成小(保原町富沢、児童60人)で挑戦を始めた。屋外プールには、1キロあたり100~600ベクレルの放射性セシウムを含む水がたまっていたが、吸着作用のある鉱物「ゼオライト」を使って浄化し、海水浴場の安全基準50ベクレル以下の20ベクレルにまで低減させることに成功し、排水した。さらに電気カンナで敷地内のアスファルトの表面を削ったり、斜面の草刈りや表土除去で線量を10分の1程度に下げられることも確認できた。
除染対策費約4億円を含む補正予算が市議会で成立したものの、予算に限りがあるため、11日から作業ボランティアを募り、16、17日には人海戦術で草刈りや表土除去を行い、除染完了を目指す。目標は18日のプール開き。仁志田昇司市長は「子供たちの歓声が戻ってくることで、まちの再生の足掛かりにしたい」と話している。
16、17日の作業には約200人が必要で、ホームページ(http://www.fukushima.coop/)で登録を募っている。