福島県 「福島・川内村が「帰村宣言」 役場・学校4月再開」

福島・川内村が「帰村宣言」 役場・学校4月再開

河北新報120131】福島県川内村の遠藤雄幸村長は31日、県庁で記者会見し、福島第1原発事故で移転した役場機能を4月1日に村内の元の庁舎に戻すとし、村外に避難した村民に帰還を促す「帰村宣言」を出した。原発事故で役場を他市町に移した9町村の中で役場を戻す自治体は初めて。

 役場の他、保育園、小学校、中学校、診療所を4月1日に再開させる。各施設の除染は2月中に終える。住宅の除染は進んでおらず、中学生までの子のいる世帯は計画通り3月末までに終え、それ以外の世帯は計画を見直して12月をめどに完了させる。農地、森林は新年度以降に行う。

 稲作は昨年に引き続き作付け制限する。村内8行政区単位に計約25カ所の水田で実験的に作付けを行い、収穫時に放射性物質濃度を検査する。畑作は制限せず、農作物を全量検査し、濃度が国の新基準の1キログラム当たり100ベクレル以下なら生産者が自家消費する。市場流通は考えていない。

 雇用は村内に進出する東京の製造工場の操業が7月ごろになる見通しが付いた。50人規模の雇用を予定している。

 村民の帰村は2月1日から受け入れるが、初日に帰る人は今のところいないとみられる。村人口約3000のうち、緊急時避難準備区域の解除などに伴って現在約200人が村で暮らしている。

 村に帰らない村民のケアとして、避難者の約70%が集中する郡山市の仮設住宅のコミュニティーセンターに村職員を常駐させ、住民票の発行申請などができるようにする。避難先での健康診断の受診も可能にする。

 村に帰る村民は避難生活を終えたとみなされ、原発事故補償が打ち切られる可能性がある。遠藤村長はこれが帰村をためらわせる要因になっているとして、帰村者も避難者同様、補償対象から外さないよう国の原子力損害賠償紛争審査会に求めたことを明らかにした。

 遠藤村長は「帰村宣言はスタートライン。帰村しない人の意思も尊重する。早急に結果を求めず、除染しながら2年後、3年後に村民がわが家に戻れるようにしたい」と話した。