福島県 「「証拠」に基づき情報発信 福島医学会が緊急シンポ」

「証拠」に基づき情報発信 福島医学会が緊急シンポ

放射性物質の健康影響などについての医学的証拠を提示し、冷静な行動や判断を求めたシンポジウム
放射性物質の健康影響などについての医学的証拠を提示し、冷静な行動や判断を求めたシンポジウム

福島民報110719】福島医大を中心とした県内外の医師らでつくる福島医学会主催の緊急シンポジウムは18日、福島市のコラッセふくしまで「放射性物質の環境と健康への影響をエビデンス(医学的証拠)に基づいて評価する」をテーマに開かれた。県民の冷静な行動を促すため、研究成果やデータについて情報を発信した。

 県医師会、福島民報社、ラジオ福島の共催。会員の医師、教員、警察、消防、自衛隊関係者ら約400人が訪れた。福島医大の大戸斉医学部長が「これまで何が分かっているのか、分かっていないのか。どこまで安全で、どこから危険なのか。日本、世界で一級の研究者の話を聞き、理解を深めてほしい」とあいさつした。

 福島医大や福島大など県内外の大学などの研究者が登壇。長崎大大学院医歯薬学総合研究科付属原爆後障害医療研究施設の高村昇教授がチェルノブイリ原発事故による住民の被ばく状況などを報告。放射性ヨウ素による甲状腺がん発生増は確認できるが、放射性セシウムなどによる他のがん発生への影響は認められないとした。

 広島大原爆放射線医科学研究所ゲノム障害制御研究部門の神谷研二教授(福島医大副学長)は「年間100ミリシーベルト以下の放射線量の発がんリスクは小さすぎて、正確に捉えきれない」と説明。一方で「被ばく線量は、合理的に達成できる限り低くすべき」と主張し、住民と行政が密接に連携して取り組むことを求めた。

 風評被害の社会心理や、県内の放射線レベル分布マップなどの発表もあった。