【岩手日報110517】県は16日、東日本大震災津波復興委員会の総合企画専門委員会を開き、復興ビジョンに盛り込む重点事業の具体的な工程表を公表した。最重点に掲げ る水産業については、今年の夏までに被災した漁協事務所や魚市場の仮復旧を実施。秋までに必要な漁船の整備や漁港機能の応急復旧を目指す。2013年3月 までに中核魚市場を本格復旧し、製氷施設を新たに整備することなども掲げた。
同計画は柱となる七つの重点事業ごとに緊急(1年内)、短期(3年程度)、中期(3年以上)の目標を設定。特に沿岸住民の生活に直結する水産業については「早期に現金収入の獲得手段を確保する」(農林水産部)との方針から漁期に合わせて具体的目標を示した。
漁協を核とした漁業、養殖業の構築として、サバ、イカ漁が本格化する今夏までに24カ所のうち14カ所が被災している漁協事務所を復 旧。9月までに28カ所のうち21カ所で被害が出ているサケふ化場の仮復旧を実施する。現在、5726隻の流失が確認されている漁船については、ワカメの 種付け作業が始まる秋までに必要な漁船を共同利用などの形で整備する方針だ。
被災した魚市場については、夏漁までに設備の仮復旧を実施。流通・加工体制の構築に向けて、13年3月までに大船渡、釜石、宮古、久慈の中核市場を本格復旧させ、製氷施設の新たな整備を行う。
また、県内111カ所の大半が津波で被災した漁港は、秋サケ漁が始まるまでに土のうを積むなどして応急復旧した後、14年3月までの段階的な復旧を想定。倒壊した防潮堤の応急復旧や漁場のがれき撤去などは年内に実施することも示した。
今回の計画は、主に国の第1次補正予算に盛り込まれた事業を中心に提示。今後の2次補正などを踏まえて、さらに具体的な事業を盛り込む方針だ。
また、まちづくりの項目では災害に強い防災型都市・地域づくりを重点に設定。今年7月末までに生活環境に支障が生じるがれきの撤去を完了させ、おおむね1年以内に多重防災型のまちづくり計画を策定するとした。
(2011.5.17)