住民主導で仮設商店街 陸前高田・飲食店主らが計画」
【岩手日報110626】東日本大震災で中心市街地が壊滅状態となった陸前高田市で、地元飲食業者が中心となり「仮設ミニ商店街」をつくる計画が進められている。市内最大の避難所や市役所仮庁舎に近い立地環境に、多様な業種12~14店舗を集める。行政の対応スピードにもよるが10月開業を視野に入れている。市民が憩う買い物拠点として復興のけん引役を目指す。
「人が集まる場所をつくらなければ、若者が地元を離れてしまう」。立ち上がったのは飲食店を経営する太田明成さん(44)=高田町、村上安人さん(55)=横田町の仮設住宅、佐々木浩さん(49)=高田町=の3人。太田さんが声を掛けた。
商店街は同市高田町の住宅街、鳴石団地から数百メートルの場所に設ける計画。市に借り上げてもらうべく用地交渉も済んでおり、約1千万円かけて約2千平方メートルを造成する。約250人が避難生活を送り、校庭には約150戸の仮設住宅がある第一中や、市役所仮庁舎、金融機関からは徒歩圏内だ。
鮮魚店、包装用品店、理容店などに出店を呼び掛けている。12~14店舗がそれぞれ仮設の建物を持つ構想で駐車場は30~50台。隣接地に大手コンビニエンスストアが出店を検討しており、その用地を含めれば3千平方メートル以上になる。市有地や市が借り上げた用地に建てる場合、原則無料で仮設店舗を貸し出す中小企業基盤整備機構の事業を活用。出店者の負担は造成費の分割分と内装費程度で済むという。
村上さんが「街がない、仕事がないでは食っていけない。人がいなくなれば店もなくなってしまう」と指摘する通り、3人を突き動かすのは人口流出への懸念だ。
陸前高田商工会によると698会員の約8割が被災。営業を再開する店も出てきたが、立地はまばら。街の構造上、浸水区域を避ければ条件の悪い地域にしか店を再建できず、経営者は用地確保に苦戦を強いられている。
佐々木さんは「住みやすい街にして若い人に希望を持たせたい」と決意。太田さんは「何でもそろい、老若男女が楽しめる場所にしたい。10月までの完成が目標」と意気込む。
【写真=仮設ミニ商店街の計画を立てる(左から)村上安人さん、佐々木浩さん、太田明成さん=陸前高田市】