「宮城でも汚染対策を」 村井知事と19市町長が国へ要望
【河北新報120121】福島第1原発事故を受けた政府の被害対策が福島県などと大きく異なっているとして、宮城県の村井嘉浩知事と県内19市町長は20日、民主党と関係省庁を訪れ、健康影響調査の実施に関して統一基準を明示することなど、20項目を要望した。
このうち農林水産省では村井知事が「県民は非常に不満に思っている。県境ではなく、放射能レベルで区切るべき問題だと思う」と指摘。(1)森林や農地の除染(2)県内産品の風評被害対策(3)放射性物質を含む汚染水の再放出防止―を求めた。
井口経明岩沼市長も「震災対応はよくやってもらっているが、原子力関係は非常に悪い」と抗議。村上英人蔵王町長は「一番の心配はまだ処理が決まっていない牧草だ」と述べ、農家への財政支援を訴えた。
鹿野道彦農相は「多大な迷惑を掛け、あらためておわびをする」と謝罪し、「福島県だけという思いはない。関係閣僚と連絡を取り、予算措置も除染も国が責任を持って懸命に取り組む」と応じた。
◎「県境による対応の差おかしい」 知事ら都内で会見
宮城県の村井嘉浩知事と県内19市町長が20日、都内で記者会見し、福島第1原発事故を受けた健康対策や風評被害への賠償などをめぐって「県境によって対応に差があるのはおかしい。放射能のレベルに応じた対策を講じるべきだ」と政府の姿勢を強く批判した。
村井知事は「放射能対策は福島だけに偏り過ぎている。県内にも放射線量の高い地域があるのに対応は不十分で、強い憤りを感じる」と訴えた。
各府省への要望行動について県市長会副会長の井口経明岩沼市長は「政府対応のまずさに対する怒り、抗議だ」とし、「健康影響調査や風評被害への賠償などが県境を挟んで違うのは解せない」と疑問を呈した。
独自の健康調査を実施する保科郷雄丸森町長は「福島と同じ対応をしてほしい」と強調。放射性物質で汚染された稲わらなどの問題を抱える佐藤勇栗原市長は「住民に一時保管への理解を求めているが、このまま置かれるのではないかと不安を持っている。出口の対策が大切だ」と指摘した。