高台移転など314事業 県震災復興計画最終案が決定
【河北新報110818】宮城県は17日、幹部職員による震災復興本部会議を開き、県震災復興計画の最終案を決定した。2020年度までの10年間を復興期間とし、住宅の高台移転や漁港の集約再編、エコタウン形成など341の復興事業に取り組む。決定を受け、村井嘉浩知事は「重厚な内容になった」と語った。
最終案は基本理念に「NPOとの連携」「女性の参画推進」「世界に開かれた復興」を追加。福島第1原発事故を踏まえ、農林水産物の放射能検査体制の強化など「原子力災害への対応」を緊急重点事項に明記した。
高台移転や職住分離の方針は、パブリックコメントで県民の賛否が割れたが、「被災者のコンセンサスは得られた」(村井知事)として最後まで堅持した。ただ、被災地に強要はせず、地域事情を尊重することにした。
養殖漁業に民間参入を促す「水産業復興特区」構想は、政府の復興基本方針にも創設が明記されたが、県漁協などの反発を考慮し、最終案も検討すべき課題にとどめた。
「若者の復興活動への参加促進」を新たに盛り込んだほか、復興祈念施設は震災・津波博物館(仮称)を中心とした「東日本大震災メモリアルパーク」(同)として、整備を国に提言していく。
10年間に取り組む「主な事業」は、2次案の316事業のうち16事業を取りやめ、放射線量測定機器の整備事業など41事業を新たに加えた。
村井知事は「国の方針を書き連ねた復興計画でなく、提案型なのが宮城県らしさ。財源確保と規制緩和が実現の鍵を握る。『絵に描いた餅』にならぬよう341事業全て実現させる」と述べた。
最終案は22日の県震災復興会議に示し、一部文言を微修正した後、県議会9月定例会に行政計画議案として提出される。