宮城県石巻市 「工学院大学が復興住宅を石巻で着工 地元と連携集落を再生」

工学院大学が復興住宅を石巻で着工 地元と連携集落を再生

復興住宅の建設予定地=石巻市北上町十三浜
復興住宅の建設予定地=石巻市北上町十三浜

河北新報110715】東日本大震災で壊滅的被害を受けた宮城県石巻市北上町十三浜に、工学院大(東京)が地域の企業グループと連携し、被災者が住む復興住宅を建設する。民間による復興住宅の建設は県内では初の試み。関係者約30人が14日、現地で安全祈願祭を行った。
 高台の別荘予定地(約5000平方メートル)を地元企業が無償で貸与する。大学が平屋(43平方メートル)と2階建て(63平方メートル)の個人用10棟と、お年寄りらの共同利用が可能な2階建て(102平方メートル)を建てる。
 住宅はいずれも木造。板張りの壁やスレートの屋根など地域の伝統的な造りにする。北上町のまちづくり会社「芽ぐみ」を通じ、地元の職人らが施工する。建設費は約1億7000万円で大学が集めた寄付金を充てる。
 造成工事はほぼ終わり、個人用住宅は8月末に入居できる。10棟のうち5棟の入居者は既に決まっている。家賃は2階建てが月額2万7000円、平屋は同2万円程度になる見通し。
 復興住宅は、研究のため震災前から北上町をたびたび訪れていた後藤治教授(日本建築史)が地域住民に提案したのがきっかけ。安くて短期間で完成できる恒久住宅の建設を通し、集落の維持、再生を図るのが狙い。
 後藤教授は「仮設住宅と並行し、恒久住宅の建設も大事。完成後も学生たちとコミュニティーづくりに協力したい」と強調した。
 一家5人で入居予定の漁業佐々木克弥さん(54)は「高台にあって津波の心配もない。港にも近く便利だ」と話した。