沿岸部3地域に区分 南部4市町「多重防御型」に
【読売新聞110524】東日本大震災の甚大な被害から復興に取り組む県が、策定を進める「震災復興計画」の原案が23日、明らかになった。再生可能エネルギーを活用した 「エコタウン」建設を目指すほかに、県内沿岸部を三つの地域に区分し、それぞれの復興のイメージを提案した。なかでも仙台以南について、農地の集約化など によって競争力を強化する考えを打ち出した。
計画の原案では、沿岸15市町を「三陸地域」「石巻・松島地域」「仙台湾南部地域」の三つに区分した。このうち名取、岩沼、亘理、山元の2市2町 が中心の「仙台湾南部地域」では、防潮堤や防災緑地、盛り土した道路や鉄道などで津波を防ぐ「多重防御型まちづくり」を提案した。
仙台平野が広がる同地域では、津波で浸水し、地盤沈下のため復旧が著しく困難な農地を国が買い上げ、津波をよける千本松などを植えた国営公園などの「緩衝地帯」として整備することを提案した。
さらに、道路などで区切られた内陸部の土地では、農地の集約化や大規模化を進める。水稲や大麦、大豆などを集約化するほか、施設園芸や畜産の生産を拡大し、亘理、山元両町で特産の「イチゴ団地」などを新たに整備。ブランド化で農業生産額の向上をはかる。
計画原案は「復興のポイント」として10項目を例示。観光分野では、風評被害などで落ち込んだ集客力の向上を図るため、震災経験を伝える「震災教 育・研修旅行」の誘致を目指し、施設やプログラムの整備を検討する。震災や津波に関する国際会議の誘致も積極的に行うことも盛り込んだ。