「全原発廃炉」復興計画に明記へ
【河北新報111201】福島県の佐藤雄平知事は30日、東京電力福島第1原発(大熊町、双葉町)、第2原発(富岡町、楢葉町)の原子炉計10基全ての廃炉を国と東電に求める考えを明らかにした。12月にまとめる県復興計画に盛り込む。原発事故後に打ち出した「脱原発」の基本理念からさらに踏み込み、原発と決別する姿勢を明確にした。
佐藤知事は記者会見で「第1原発事故で多数の県民と広範囲の県土が甚大な被害を受け、原発の安全性に対する信頼が根底から崩れた」と指摘。「県民を守り、若者や子どもが安心して暮らせる県にするために県内の全原発の廃炉を目指すことを決断した」と述べた。
原発に代わる雇用と地域振興策として、再生可能エネルギー関連企業の誘致と育成を軸に産業の確立を急ぐ。立地自治体などの財政の柱となった電源3法交付金や核燃料税の穴埋めでは、特別措置法による新たな財政的な手当てを国に求める。
廃炉に伴う大量の放射性廃棄物や使用済み核燃料の処分については、最終処分場の県内設置を認めず、県外に搬出させる意向をあらためて示した。
佐藤知事は「福島県は原発と40年以上共生し、財政、経済面で恩恵を受けた。しかし、今回の事故で自然も社会もそれ以上の被害を受け、原子力に依存しない新生福島を創造する結論に至った」と語った。
復興計画の最終案は1日にも公表され、県民に意見を募るパブリックコメントを実施して決定する。国や東電への廃炉要請は計画決定後に行う。
福島県は8月に脱原発を基本理念に据えた復興ビジョンを策定。県議会は10月、県内の全原発の廃炉を求める請願を採択した。
第1原発には事故を起こした1~4号機の他、5、6号機があり、第2原発には1~4号機がある。東電は第1原発1~4号機については既に廃炉を決めている。