2日で建てる 木造仮設住宅
【読売新聞120125】東日本大震災で仮設住宅が不足したのを受け、県建築設計監理協会が、組み立てが簡単な木造仮設住宅を開発した。日曜大工経験者が10人で作業すれば最短2日で完成でき、プレハブの数週間から大幅な工期短縮を実現。協会は「改良して実用化し、防災の一つとして加工ノウハウを提供したい」としている。(升田祥太朗)
「土佐の木の家」と名付けた約30平方メートルの2DK(4畳半2間、台所、トイレ、風呂)で、一般的な仮設住宅とほぼ同じ。建材は最大でも21センチ×10・5センチ、長さ4メートルで、1棟分を4トントラック1台で運搬可能にしている。
従来の鉄骨プレハブの仮設住宅は、建材の加工・成型に時間がかかり、組み立ての作業員を確保する必要があり、震災でも建設が思うように進まなかった。
南海地震に備え、協会は森林面積が84%という県の特徴が生かせ、木材加工工場が無事なら調達が容易な木に着目。協会員15人が昨年4月から設計を進めてきた。
協会は昨年10月、津波で活動拠点を失った岩手県宮古市のヨット愛好家らでつくるNPO法人「いわてマリンフィールド」(橋本久夫理事長)に、試作品1棟を寄贈。現地ではメンバーや高校生ら約20人が2日間で完成させ、現在はヨットハーバーの仮設クラブハウスとして利用されている。
作業に加わった同県立宮古高3年小林竜成さん(18)は「大工作業は初めてだったが、けがの心配もなく思っていた以上に簡単だった」と話す。
その後、「暖かい」という感謝の声がある一方、床が傷つきやすいなどの欠点も判明。協会は2月2日午後1時半から、高知市の県中小企業会館で報告会(定員40人。入場無料)を開き、改良点などを説明する。
協会の大原泰輔理事は「南海地震が想定される地域は山林が多い。県外との交通網が寸断されても、県内で材料を調達できる。木のぬくもりで被災者のストレスも緩和されるのでは」と話している。