宮城県 「仙台港周辺 特区を検討 市が復興ビジョン発表」

仙台市周辺 特区を検討 市が復興ビジョン発表

河北新報110601仙台市は31日、東日本大震災の復興計画の素案となる復興ビジョンを発表した。計画期間は2015年度までの5年間と定めた。奥山恵美子市長は「新しい視点による都市づくりに踏み出すべきだと考えた。スピード感を持って復興に取り組む」と強調した。

 住宅や事業所、農地が混在して法規制が複雑な仙台港周辺地区については、特区制度の活用を検討。奥山市長は、ことし10月末までに策定する復興計画で関連事業の予算規模を固める考えを明らかにした。
 東部沿岸地域の居住対策では、津波被害の程度に応じて3区域を設定。家屋が流出したか1階天井まで浸水した区域(2652世帯)は、より安全な西側への集団移転を中心に据える。
 ビジョンで、移転先の候補は仙台東部道路の西側にある宮城野区田子、若林区荒井両地区を明記した。ただ市長は、5月下旬の復興座談会で出された被災者の要望を踏まえ「東部道路の東側沿いの土地でも、防災対策を講じた上で居住を容認する」との方針を示した。
 丘陵団地で多発した宅地被害は現地での再建を基本に、既存制度の拡充や新制度の創設を国に要請し、所有者負担の軽減を目指す。調査の結果、地盤の安定化が難しい場合には、集団移転制度の活用も検討する。
 奥山市長は「集団移転は仕事の兼ね合いを含め、被災者の意見を丁寧に聞きながら決めていく課題だと思っている」と述べた。