【産経新聞110726】放射性セシウムで汚染された稲わらを食べた牛の肉が流通した問題で、農林水産省は26日、国の暫定基準値(1キロ当たり500ベクレル)を超えたものを食肉流通団体が買い上げ焼却処分するなどの対応策を発表した。費用は、流通団体が東京電力に損害賠償請求する。
同省は当初、国負担で買い上げる方針だったが農水産物などと同様、最終的に東電が賠償する形にした。ただ、汚染牛肉が流通したことを重視、買い上げで早急に市場から汚染牛肉をなくし消費者の信頼回復を狙う。
買い上げ対象は基準値を超えた牛肉のうち、25日までに市場への流通が判明した23頭に加え、今後回収されるもの。流通を免れたものは対象外となる。汚染された稲わらを食べても基準値を下回ったものは冷凍保管して販売の機会を待ち、売れ残りは処分して東電に代金を請求する。
食肉流通団体は、全国農業協同組合連合会などを想定。保管経費なども流通団体が補填(ほてん)し、流通団体が金融機関から融資を受ける際は、農水省の独立行政法人が利子を補給する。農水省は費用を最大20億円と試算している。
また、出荷制限を受けるなどした畜産農家の資金繰り支援のため、1頭当たり5万円を食肉流通団体から立て替え払いし、東電に請求することも決めた。
一方、細川律夫厚生労働相は26日の閣議後の会見で、「検査機器(の不足)やマンパワーの問題がある。物理的にすべての牛の検査をするのは不可能」と指摘しており、買い取りに不可欠な検査態勢の弱さに課題も残る。