苦労 「分かち合い隊」 活躍 入所者の日常支援
【河北新報110521】東日本大震災の避難所で暮らす女性たちの炊事や掃除の負担を減らそうと、ボラン
ティア「分かち合い隊」が岩手県陸前高田市などで活躍している。通常の炊き出し補助と異なるのは、食事のメニュー作りから調理、振る舞い、後片付けといっ た一連の作業を担いながら、入所者とのコミュニケーションにも努めること。苦労をとにかく分かち合うのが基本だ。
「炊事はなかなか大変。そうした負担を分かち合うことが必要と考えた」。分かち合い隊の一人、青島秀也さん(70)=静岡市=は活動の狙いをこう説明する。
陸前高田市の避難所、上和野会館では15日午後、分かち合い隊のメンバー5人がおやつを作り始めた。砂糖で煮た一口大のリンゴをチョコレートプリンに乗 せ、皿に盛りつける。調理場から入所者がいる和室まで運び、一人ずつ手渡した。会話も忘れず、「天気がいいね」「体調良さそうね」などと声を掛ける。
分かち合い隊は岩手県沿岸部の被災地へのボランティア供給を担う「遠野まごころネット」の発案で誕生した。延べ60人が4月29日から、要望のある陸前高田市と大槌町の避難所4カ所へ赴き、毎日もしくは週1日ほど世話している。
避難所が提供する食事は通常、弁当か炊き出しになる。炊き出しの場合、入所する女性たちが当番制で調理する所が多い。だが、「作業に時間を取られ、自宅の片付けにも行けない」と訴える人が出てきているのが実情だ。
大型連休後はボランティアの数もめっきり減り、分かち合い隊の存在感は各所で増すばかり。上和野会館の避難所運営責任者、千葉浩一さん(67)は「入所者に疲れが目立ってきており、分かち合い隊の支援は大いに助かる」と歓迎する。
東京の大学院生で隊全体のリーダーを務める本多俊貴さん(25)は「被災者の方々に寄り添い、避難所の日常生活をサポートしていきたい」と意欲を示している。(松田博英)