【朝日新聞110611】東日本大震災から3カ月の11日、「脱原発」を訴えるデモやイベントが全国各地で開かれた。
東京・新宿では、インターネットでの呼びかけなどで集まった多くの人たちが午後3時すぎから行進。ロックやちんどん屋の生演奏を先頭に、休日の繁華街を約3キロ歩いた。主催者によると約2万人が参加したという。
都内の会社員、斎藤誠さん(43)は、妻と2人の息子と参加した。こうしたデモ行進は初めて。「子どもの将来が何より気になる。原発は即停止しかないだろう」と話した。
百貨店で買い物をしていた都内の杉本則子さん(60)は飛び入りで加わった。「原発がないと生活ができないでしょ、と問われても、今までは返す言葉がなかった。その答えを真剣に考える責任があると思う」
福島県内の各地でもデモや集会があった。郡山市では約200人が「ノーモア・フクシマ」「ふる里をかえせ!」などと手書きしたプラカードを掲げながら歩いた。
福島第一原発の事故の影響で、郡山市内の放射線量は今でも、東京の20倍以上。同県須賀川市の主婦橋本円香(まどか)さん(36)はマスクに「深呼吸も出来やしねえ」とのメッセージを貼りつけて歩いた。「本当はデモなんかしたくない。でも、地元から、原発反対の声を上げないといけないと思いました」
この日の行動は、福島第一原発の事故が起きてから東京都内でデモを主催していた環境保護団体「グリーンピース」やリサイクルショップ「素人の乱」の関係者らが話し合い、「6・11脱原発100万人アクション」と題して世界各国にも呼びかけて実施した。
世界有数の原発大国フランス・パリや豪メルボルン、香港、台北などでもこの日、集会やデモがあった。
パリでは、中心部の市庁舎前に数千人が集まり、脱原発を訴える日本の人々との連帯を表明。脱原発の方針を打ち出したヨーロッパエコロジー・緑の党をはじめ、原発を推進する姿勢を崩さないサルコジ政権と対立する野党各党の議員らが次々に演説した。
主催したNGOメンバーのシャルロット・ミジョンさんは「各国は原発の安全性検査を実施すると言うが、原発を続けるための言い訳に使われかねない」と指摘した。